はじめに
「闇動画3」のレビューです。今回はストーリーや怖さが洗練されてきた感じです。
前回のレビューから少し間が開いてしまいました。実は身内でバタバタがあって「心霊ドキュメンタリーレビュー」を書く気が起こらなかったからですが、ようやく落ち着いたので再開いたします。
夜の峠道(少し怖い)
概要
夜の峠道をドライブしていたら、運転者の友人はいきなり車を急停車させる。彼は「人がいる」と車を降りて様子を見に行くのだが、投稿者には何も見えない。この友人は車に戻ると後部ドアを開け、人を乗せるそぶりをし、「『りさこ』さんだっけ。送っていくよ」みたいなセリフを吐く。投稿者は「何言ってんの?誰もいないでしょ」と言う感じで後部座席にカメラを向ける。するとそこには顔が半分崩れた女が座っており、こちらを見つめていた。驚いた投稿者は車から降りてしまうが、構わず友人は車を出して去ってしまう。
投稿者は止むなく歩いて山を下りるはめになったが、彼を置き去りにした友人は、その直後に交通事故を起こし、重傷を負ってしまった。しかし友人はこの時のことをよく覚えていないらしい。その後、入院中の病院に「やまかわりさこ」を名乗る女から電話が頻繁にかかってくるようになる。彼は怖くてその電話には出なかったそうだが、そう言えばあの映像で彼が車に乗せていた時に語っていた何者かの名は「りさこ」であった。
その時のドライブレコーダーには、友人の前に真っ白い影のようなものが写っていた。
感想
後部座席に現れた幽霊がなかなかいい感じです。慣れていなければ結構怖いと思います。
このエピソードを観て、真っ先に思い出されたのが、所謂「ポルトガルの幽霊」ですね。
これはある映像作家の作品なのですが、何故かガチの映像として拡散されたものです。デビッド・レボルダオ監督の「A Curva」という映画の広告キャンペーンとして作成されたらしいのですが、元ネタの情報があまりなくて、未だに真実として紹介されているページしかヒットしません。NHKBSの「幻解!超常ファイル」と言う番組でもフェイク映像として詳しく紹介されていましたが、あいにく録画はしていませんでした。
この「ポルトガルの幽霊」とはちょっとテイストが異なりますが、このエピソードも「後部座席の不気味な女」、「その後の事故」という点で通じるものがあります。女の顔の崩れ方も程よい(?)感じで気持ち悪いです。ここはやり過ぎるとフェイク感の方が勝ってしまいますが、今回は丁度良いかと思いました。
でも、幽霊を拾った時のドライブレコーダー映像があるのに、肝心の事故った瞬間の映像がないのは、かなり残念だと感じます。予算的な問題でしょうか(フェイクだとしたら)。
赤い影(少し怖い)
概要
CMに出演してもらう女優のオーディション映像。この中の一人の顔が異様に歪み、いきなり画面が20分割くらいになったかと思うと、彼女の背後に赤い影が現れる。大きなノイズ音と共に映像は途切れてしまい、カメラは壊れてしまった。
感想
顔が歪むのはよくありますが、歪み方が「これでもか」と言うくらい激しくて、結構不気味です。
グラビア撮影(少し怖い)
概要
グラビアアイドルのイメージビデオを撮影していたら、そのアイドルの女性がロザリオみたいな十字架を首飾りにしていた。「それどうしたの?」と聞くと「トイレで拾った」との答え。「いや、それまずいじゃん、ちゃんと届けないと」と無用なトラブルを恐れてディレクターはそれを外させる。
それでも彼女は着替えの度にそのロザリオを身に着けてくる。「いや外せって言ったやんか」と彼女の首元をみたら真っ赤に腫れている。しばらくしてその個所は爛れたように悪化し、撮影は中断してしまう。やがて女性は苦しみだし、落ち着いたと思ったら部屋を飛び出してしまった。ディレクターは彼女を追いかけるが見失ってしまう。
ディレクターは「やべえ」とマネージャーに電話しながら部屋に戻るが、今部屋を出て行ったばかりの筈の彼女がベッドに座っているではないか。「そんな馬鹿な」と彼女に近づくディレクター。だが彼女は首や胸ばかりか顔まで爛れまくって、見るも無残な姿になってしまっていた。ここで映像は終わってしまう。
このアイドルは病院に担ぎ込まれたが、顔や胸のただれに関しては原因不明。だが、2~3日で元に戻った。彼女自身はこの時のことをよく覚えておらず、あのロザリオに執着した理由もわからないという。
ロザリオは警察に届け、持ち主の家族の元に戻ったそうだが、持ち主本人はすでに亡くなっていた。そしてあの時の映像、グラビアアイドルが部屋を飛び出すシーンで、女性の笑い声と奥に佇む2人の人影を捉えていた。
感想
このエピソードはそんなに怖くはないんですけど、グラビアアイドルの肌の爛れ方がリアルと言うか、痛々しい感じがよく出ていて、なんとも言えない気分になります。拾ったロザリオに、持ち主の思いが込められていた、ということでしょうが、正直そんなことはどうでもよくなるくらいにインパクトがあります。このシリーズ、何気に爛れ表現がとてもリアルですよね。
映像に写り込んだ人影が2人なのが謎です。
グラビアアイドルが、精神を病んだり、失踪したりすることもなく、後にインタビューを受けているのが、ちょっと珍しくて新鮮でした。
地底の怪(少し怖い)
概要
山林に落ちていたビデオカメラに収められていた映像。男性2人がどこかの洞窟を訪れている映像だったが、洞窟内の案内板か何かの影から、不気味な顔がこちらを覗き込む。
感想
これもエピソードとしては小粒で、前後の中編エピソードに挟まれた口直しのような存在です。ただ、覗き込む男の表情はそこそこ怖いものでした。山林に落ちていたというシチュエーションも、映像に写っていた男性らの運命が心配になりますね。
箱呪(少し怖い)
概要
今度はレースクイーンを起用した心霊系DVDの撮影。曰くつきの廃墟にわざわざ出かけて、そこで「コックリさん」をやるという、なんともふざけた企画。レースクイーン(以下RQ)、ディレクター(以下D)、アシスタントディレクター(以下AD)の3人でこの廃墟を探索し「コックリさん」の舞台にふさわしい部屋を探すことになった。すると彼らは家具でバリケードされ、封鎖されたような、いかにもな部屋を見つける。そしてその部屋の奥にはさらに強固に封鎖されている和室が見つかり、そこを突破すると、何やら儀式めいた赤い糸が部屋中に張り巡らされていた。
撮れ高しか考えていないDは、この部屋での「コックリさん」を提言するが、RQに必死に拒否られ、止むなく適当な部屋で始めることになった。ラップ音が鳴ったりした後、「コックリさん」のお告げに、さっきの和室の奥の戸棚が出てきたので、Dは「コックリさんも言ってるんだから」と言う感じで舞い上がって和室に突入。パワハラ気味に彼女に赤い糸の封印を切らせて、戸棚の奥を開けさせる。中にはドレスを着た不気味な人形と小箱が収められており、小箱内にはお札のような紙に包まれた髪の毛が入っていた。
この時、ADの男性は何かを払いのけるような奇妙な動作をし、部屋を飛び出してしまった。後を追ったDは建物の外に倒れ込んでいる彼を発見するが、呆けてしまって要領を得ない。すると、建物内から女性の鋭い悲鳴が上がる。
部屋に戻ったDは口にあの小箱にあったお札と髪の毛を口に咥え、苦しんでいるRQをみつける。何者かに無理やり押し込まれたというのだろうか。そして背後に気配を感じたDが振り向くと、半透明の不気味な人物が急にこちらに迫ってきて思わず倒れ込んでしまった。
起き上がると、何故か戸棚にあった人形が外に出ており、こちらを見つめている。心なしかニヤリと笑っているようにも見えた。恐怖を感じた彼は、RQを担いで建物から何とか脱出する。だが外にいたはずのADが消えている。そこで強い衝撃音と共に映像は乱れ、終わってしまう。なんと、ADは2階から飛び降りてきて彼と激突してしまったらしい。
彼らは怪我を負いながらも命に別状はなかったが、RQ、ADとも精神に異常をきたし、今も自宅で療養中。Dは映像業界を去り、行方不明だという話である。
感想
またこのディレクターも無茶させるから。そもそもRQにやらせず自分でやりなよ(笑)。それでいて、精神を病んだのがRQとADだけとか、ちょっと理不尽だと思いました。
それはともかくなかなか怖く仕上がっています。部屋の封印がこれまたそれっぽくて良いですね。いざ作ろうと思っても難しいと思うし、いい感じに風化していてリアルです。僕は全編フェイクだと思って観ていますが、これだけ本物っぽく作れるセンスにも脱帽。人形も気持ち悪くて怖い。ディティールや表情がよく分からないけど、それがアラが見えなくて良い効果が出ていると思います。
何がここに封印されていたのか。あの人形や髪の毛は何なのか。何もかも謎で終わってしまうのも不気味で余韻がありますね。
それだけに、カメラに迫ってくる霊の姿にはもう少し工夫がほしかった。それだけはちょっとありがちで、残念でした。
感想まとめ
全体的に恐怖のクオリティが上がってきた感じがします。最後のエピソード「呪箱」の霊の姿に「ありがちで残念」と書きましたが、自分が心霊ものを100本以上観てきて、慣れてしまっていることもあると思います。最初にこれを観たら結構か怖かったかもしれません。
さすが「ほんとにあった!呪いのビデオ」の黄金期の一角を担った児玉氏だと思いました。
コメント
箱呪はなかなかのお気に入り作でしたね
しかし残念ながらほかのが全く思い出せないですね…
兼ねてから見直したいと思っていたのでニコ生のチャンネルあたりで見直すか検討中ですね
レンタルにあるのが1番いいんですが
箱呪は面白かったですよね。
それ以外だと「夜の峠道」ですかね。