ほんとにあった!呪いのビデオ27(ネタバレあり)

eye_catch_noro_27 ほん呪

 

はじめに

「ほんとにあった!呪いのビデオ27」のレビューです。今回はスタッフルームの怪異がメインエピソードですが、思わぬ方向に事態が動きます。

誕生会(ちょい怖)

概要

職場の仲間とでちょっとした誕生パーティーが開かれる。誕生日の人物の女性が投稿者宅を訪れるシーンで、開け放たれたバスルームの浴槽から黒い手が伸びている。

このアパートはかつて墓地だったところに建てられ、家賃も相場より格安だったという。

感想

これから誕生パーティーの主賓が来るというのに、なんでバスルームの扉を開けっ放しにしておくかなあ、と思いました。ありがちな写り方の手ですが、黒くてそれなりに不気味ではあります。

シリーズ監視カメラ・スタッフルーム1(ちょい怖)

概要

まず警告画面が表示される。

警告
このエピソードに含まれている映像は
あなたの心身に深刻な霊障をもたらす
可能性があります。気の進まない方や
霊障を受けやすいという方は再生する
のを停止してください。
こちらでは一切の責任を負いかねます。

呪いのビデオ制作委員会事務所、通称スタッフルームでは、数々のポルターガイト現象に、「撮れ高が上がるぜ!、ヒャッホーウ」…ではなく、とても悩まされていた。特に「ほんとにあった!呪いのビデオ24」で紹介された「ダビング」の映像に関わってからというもの、その傾向が身の危険を感じる程になっていた。スタッフは当面の間、今まで使用していた事務所から、別の場所に拠点を変更することにしたが、演出捕岩澤の周りでは依然として怪現象が起こっていた。

ある日岩澤は深夜までの残業に疲れ、寝袋で仮眠を取ることにした。その際、赤い女性が登場する悪夢にうなされることとなる。実は最近岩澤は、この夢を3〜4回は見続け、悩まされていたそうである。新しい事務所にも設置されていた監視カメラは、この際の映像を捉えており、そこにはうなされる岩澤の傍に現れる、何かの黒い影が記録されていた。

制作委員会には、この「ダビング」の発表以来、多数の投書が寄せられていた。共通するのは、男女問わず、赤い人物が夢に登場すると言うものであった。スタッフはその投書の中の1人である、新城さんに取材することができる。新城さんによると、夢の中に赤い顔の男性が現れるのだと言うのだ。実家の母の勧めにより、付き合いのある住職に相談すると、その夢の中の男性は、新城さんが幼い頃に死に別れた実の兄で、見守ってくれるはずの存在ではあったが、最近その兄に生に対する嫉妬の念が生まれ、夢に現れているという話であった。住職に読経してもらい、現在はそんな夢も見なくなったそうである。

スタッフは、その住職と連絡を取り、手紙による取材を取り付ける。住職によると、嫉妬の念が強くなったのはつい最近のことで、何者かの力がそれを強くしたのではないかという見解であった。その手紙を演出捕の菊池が皆に読み聞かせている最中、突然岩澤が意識を失い、椅子から崩れ落ちる。彼に話を聞くと、突然目の前が真っ白になってしまったそうである。念のため病院で診てもらうが、身体には何も異常はなかった。

児玉、菊池のみでダビング映像の元である吉田さんに再度コンタクトを試みることにするも、すでに電話番号の所有者が変わっており、彼が住んでいたアパートの住人も、別の人物に変わっていた。不動産屋に尋ねても、吉田さんは家賃滞納の上、家財道具もそのままで姿を消していたそうである。その他には手がかりもなく、取材は完全に行き詰まってしまっていた。

そんな折、吉田さんを知る人物からの連絡が入る。

つづく

感想

まさか「ダビング」の続編に展開するとは。定番の当事者行方不明パターンと思いきや、まだまだ新事実がでてきそうなところで後半へ続きます。冷静沈着な岩澤氏が少しずつおかしくなってゆくのも予想外で興味深いです、

映像の影ですが、これも思っていたのと異なる動きの早さで気持ち悪いです。でも、警告を入れるほどのものか?、と思いますが、これは「ダビング」の映像の冒頭部分が途中で流れるからでしょうか?

NPO(怖くない)

概要

なんだか、紙飛行機や凧みたいなものを体育館内で飛ばしている、なんの活動をしているのか、訳のわからないNPO団体の会合の様子を撮影した映像。体育館の窓の外に首のない人影が。

感想

なんかユニクロのコーデマネキンみたいなものが、体育館2階の窓の外に吊るしている感じ。怖くないです。

ビデオチャット(怖い)

概要

ネットにある、可愛い女の子とお話しできる有料ビデオチャットサービスの映像。話し相手の女の子のが首をかしげると、後ろに無表情な男の顔が現れる。投稿者が気がついて、その子に指摘するも、すでに姿を消していた。これ以降、この子はサイトからいなくなってしまった。

感想

ビデオチャットの後ろに誰かいる、というのも現在では定番の1つになりましたが、当時は珍しかったと思います。男の表情も、どこか恨めしげで怖いです。

シリーズ監視カメラ・製作委員会スタッフルーム2(ちょい怖)

概要

先程と同じ警告画面が表示される。

連絡をくれたのは市村さんという人物で、吉田さんとは小・中・高の同級生であった。「ほんとにあった!呪いのビデオ24」を観た別の友人から、これは吉田さんではないか、との知らせを受け、制作委員会にコンタクトを取ってきたという。吉田さんとは高校を卒業してからも連絡を取り合っていたが、ある日を境に音信不通になってしまったそうで、家族は捜索願まで出していたというのだ。そして最近、山奥の宗教施設だった廃墟で、なんと吉田さんが首吊り自殺しているのが発見されてしまうといった、ショッキングな報告がなされた。

市村さんは他に、制作委員会に気になる映像も提供してくれた。それは、高校の卒業式後の記念映像で、はしゃいでいる吉田さんと市村さんの様子を撮影したものであるが、吉田さんの頭が消えてしまっているというものであった。

スタッフは、吉田さんが自殺した廃墟を訪れる。かなり大きな規模の施設だったので児玉、岩澤、菊池の3人で手分けして散策し、再び集合地点に戻る、という段取りであったが、岩澤だけが再集合地点に戻らない。1時間も遅れて戻る岩澤に、児玉が理由を尋ねても、彼は要領の得ない返答を繰り返すのみであった。その際の岩澤カメラの映像から、彼が他のスタッフがいなくなってしまったという妄想に取り憑かれ、ブツブツとなにかを話しながら、あてもなく施設周辺の山中を彷徨っているだけであった。心身の異常を心配した児玉は、岩澤を取材から外し、休ませることにした。

つづく

感想

本呪24でおかしな言動を繰り返していた吉田さんが、なんと自殺してしまっていたこと、彼は少なくとも高校生くらいまでは、普通の人であったことがわかります。また、あのクールな岩澤氏が取り憑かれたのか、だんだん変になっていく様がちょっと驚きです。

吉田さんの首がなくなる映像はなんだが加工っぽくて、あまり怖くはありません。この映像もTVでよく紹介されていた気がします。

フリスビー(怖い)

概要

とある学生が夜中、大学の敷地内でフリスビーに興じる様子。「ちがう」というささやき声の直後に血まみれの女性の姿が写り込んだ。この大学の敷地は江戸時代の刑場跡だそうである。無実の罪で処刑された怨念の声であったのか。

感想

刑場跡に隣接する大学って、思い当たるものがないんですけど、いったいどこなんでしょうかね。「ちがう」という声の直後、画面の左に一瞬映り込む女性の姿はなかなか怖いです。さらに撮影者がその存在に気が付いたようで、カメラで周りを探っているのもリアルで、評価は高めです。

でも、江戸時代の霊にしてはとっくり…じゃなかった、タートルネックセーター着ているような気がするんですけど、僕の気のせいでしょうか(笑)。刑場跡関係ないんじゃないの?

ボーリング(怖くない)

概要

友人たちと訪れたボーリングの様子を撮影。ボールリターンの開口部に子供の顔が写り込んでいる。

彼らはここに行くすがら、家族連れらしき車が交通事故に遭っている様を目撃していた。このときに死んだ子供が、彼らについてきてしまったとでも言うのだろうか。

感想

デジカメの動画機能で撮影したらしいのですが、とくかく暗く、周りがうるさくてイライラします。カメラワークが下手くそなのも、特に誰かに見せるためではなく、何の気なしに適当に撮影したからでしょうか。子供の顔は結構はっきり写っているのですが、前述のように暗いので、通常再生ではよくわかりません。

それにしても、こんなところに出なくとも、と思いました。

シリーズ監視カメラ・スタッフルーム3(ちょい怖)

概要

またもや警告画面が表示される。

調査の結果、吉田さんの自殺した、新興宗教の施設では、過去に若い女性が首吊り自殺していることが判明した。その事件をきっかけに教団はこの地から撤退、その後施設跡は廃墟となってしまった。この教団に取材を申し込むスタッフではあったが、予想通り協力は得られない。しかしながら、元教団幹部で、いまはもう脱退しているという人物、飯田さんに話を聞くことができる。

飯田さんによると、その施設は主に信者の修行を行う場所で、自殺した女性は教団で巫女のような役割をしていたそうだ。この巫女に悪霊を乗り移らせ、巫女の母親である人物が、その霊を払うという役割を担っていた。しかし、ある日のこと、巫女に移った霊が抜けたにもかかわらず、彼女は暴れ出してしまう。精神に支障をきたした巫女の女性は、後にこの施設内で自殺、母親も1年後に後を追うように病死してしまった。それ以来、この施設は不浄の場所として忌み嫌われ、教団が撤退したという話であった。その霊はそれほどの悪霊ではなかったはずなのに、不思議であると、彼は語る。

巫女の役の女性の名は道川和泉さんと言い、対面した者の霊的能力の長じたところを見つけ出し、それをさらに高める、という能力に長けていたそうだ。これは新城さんの兄の、嫉妬の念が強くなった話しと符合するのではないだろうか。

その後、市村さんから電話がある。吉田さんの家族から、遺品である3本のビデオテープを預かっており、制作委員会に提供する用意があるというものであった。その電話の際に、簡単な調査結果の報告をすると、市川さんは例の巫女である、道川さんを知っているとの答え。なんと吉田さんは道川さんと、中学時代に交際していたというではないか。2人の仲は道川さんの転居により、中学3年頃に自然消滅してしまったそうである。尚、道川さんの自殺のことは、市村さんは知らなかったそうだ。

3本のビデオテープのうち、1本は「ダビング」のロッカールームの映像、もう1本は卒業式で吉田さんの頭が消えたもの、最後の1本は驚くべきことに、道川さんの除霊が失敗した時のものであった。ここでこの3本目のテープに記録されていた映像が紹介される。

ろうそく2本だけの明かりの中、巫女服姿の女性を座らせ、その周りで呪文を唱えている。「六根清浄」という言葉が確認できる。儀式が終わったようで、呪文を唱えていた女性がろうそくの火を吹き消す直前、明かりの中に一瞬、人の顔のようなものが浮かび上がる。明かりが消えて、真っ暗になるとおそらく巫女服姿の女性が、何かを拒むような叫び声を上げ続ける。

この映像を先程の教団の元幹部飯田さんに見せると、その時の映像の可能性が高いとの証言を得た。さらにこのような映像が残っているとは通常ありえないことであると語った。儀式の映像を撮ることはご法度であり、除霊の成否に影響を与えかねないそうだ。

スタッフが、この3本のテープの鑑定を研究機関に依頼したところ、吉田さんの卒業式の映像と道川さんの除霊の映像は、なんと同じビデオカメラで撮影した可能性が高いとの結果を得た。映像の周りに視角を遮るものがあることや、市村さんの話で、その頃ビデオカメラを頻繁に貸していたとの証言から、吉田さんが盗撮していたと見受けられる。

吉田さんがなぜ道川さんの除霊の様子を撮影しようと思ったのかは、今となっては確かめようもないが、その代償はあまりにも大きいものになってしまった。この映像を見た方々は十分気をつけていただきたい。道川さんの能力が宿ったこの映像はあなたやその周りの負の力を大きくするものなのかもしれないのだから。

岩澤が何日にも及ぶ厳しい除霊によって、なんとか職場に復帰できたシーンでエピソードは終わる。

感想

あの吉田さんが、中坊の時に彼女を作るほどのリア充だったとは…(笑)

さて、ろうそくの灯りに浮かび上がった顔は、不気味ですが怖いというほどではありません。

それよりも、ストーリーがなかなか興味深く、面白かったですね。結構掘り下げていて、これがフェイクではなく、すべて事実だったとしたら、大した心霊ドキュメントです。

要するに

  1. 吉田さん道川さんという彼女ができる。彼女は巫女。
  2. 道川さん転校。
  3. 2年後なぜか道川さんの除霊を盗撮。除霊失敗。
  4. 数日後道川さん自殺。
  5. 1年後卒業式の日に吉田さんの頭消える。
  6. 吉田さんは、14年後「ダビング」の映像を拾う。
  7. 道川さんの能力を受け継いだ何かが発動。
  8. 吉田さん、変になる。呪いの映像拡散。
  9. 呪いは解けず吉田さん自殺。

疑問点は

  • 吉田さんはなぜ道川さんの除霊を盗撮したのか?
  • そのことを道川さんは知っていたのか?
  • 吉田さんは除霊失敗の映像をどうやって回収したのか?
  • 吉田さんは道川さんが自殺したのを知っていたのか?

というわけで、ちょっと推理というか、こんな想像をしてみました。

[想像]
吉田さんは道川さんが転校しても連絡を取り合っていた。だが、教団側からは疎まれていたか、交際を反対されていた。吉田さんと道川さんは一計を案じ、2人の交際を認めさせるための何かのきっかけにと、失敗するリスクも知らず、浅はかにも除霊の儀式の盗撮を決行。道川さんは精神を破壊され自殺。だが、教団との繋がりが道川さんしかない吉田さんには、その知らせは届かなかった。

道川さんからの連絡がなくなった吉田さんは、嫌われてしまったのかと2人の仲を諦めていた1年後、卒業の日に不可思議な映像が撮影され、それと同時に道川さんの母親から除霊失敗の映像が送られてくる。「娘が死んだのはお前のせい」と言わんばかりに。その後、母親は病死。

ショックを受けた吉田さんではあったが、どうすることもできず、自責の念にかられながらも、なんとか社会生活を行っていた。そんな折、吉田さんは職場のロッカールームで例の「ダビング」のテープを拾う。そして、道川さんの能力を受け継いだ何物かの呪いが発動。吉田さんはおかしくなってこの映像を拡散する。とうとう、道川さんが死んだその場所で、彼も後を追うことになった。
[想像終わり]

道川さんの協力がなければ、盗撮はできないと思ったこと(潜入とか無理でしょ)、吉田さんが彼女の自殺を知らなかったことにしないと、卒業式の後のあのはしゃぎ方の説明がつかないと思いまして、こんな感じになりました。

また、山を彷徨う岩澤氏がこんな感じでつぶやいていましたね。

「俺のせいで」
「ねえ俺が悪いの?」
「なんで死んじゃった」
「なんで死んじゃったんだよ」

岩澤らしくない口調だなぁと思っていたのですが、これは吉田さんの独白だったのですね。

あとちょっと気になったのですが、菊池氏が市村さんからの電話の報告をしている時、背後に子供が遊んでいるような声が聞こえるのですよ。最初は近所の子なのかとも思いましたが、別に背後の窓が廊下に面しているわけでもなさそうなんですよね。なんなんでしょうか。

感想まとめ

いかがだったでしょうか。エピソードが結構私好みで面白かったので、つい調子に乗って、レビューがクソ長くなってしまいました。ただ、映像的にはちょっと恐怖度が低めだったかもしれません。個人的にはクールな岩澤氏が、なんだかふにゃふにゃしちゃっているのが、とても印象的でした。

コメント

  1. みっつ より:

    山中でおかしくなった岩澤が口にしていた言葉は吉田さんのものだったという考察、初めて聞いたし、とても納得しました。

    この巻で自分が一番好きなのは、意外と最初の『誕生会』だったりします(ただ、吉田さんの首が消える映像は、ほん呪を知る以前にテレビで見たので、その時は大変な衝撃でした)。

  2. itton より:

    >山中でおかしくなった岩澤が口にしていた言葉は吉田さんのものだったという考察、初めて聞いたし、とても納得しました。

    岩澤がブツブツ言っていたのでヘッドホンで聞いて、そのセリフから確信しました。やっぱり本呪はヘッドホン推奨ですね。

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