はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ41」です。本呪の歴代監督の中でも最長記録である児玉和土氏が、ほん呪で監督を務めた最後の作品になります。
クラシックバレエ(怖い)
概要
差出人が記載されておらず、投稿者不明の投稿映像。添付されていたメモには、とある廃墟の病院のロッカーに置き捨てられていた、という情報のみが記されていた。
映像には1人の女性がダンススタジオのような場所で、クラシックバレエの練習をしている様子が収められている。
しばらくすると、突然照明が落ちてしまい画面が真っ暗になる。狼狽した女性の息遣いがかすかに聞こえる。照明が一時的に復活し、周りが明るくなると、何が起こったのかとうろたえながら周りを見渡す女性の後ろに、静かに歩み寄るもう1人の女性が鏡に映し出された。
姿格好から、この女性はバレエの練習をしていた女性と全くの同一人物のように見える。つまり映像には同じ女性が2人存在している。そればかりか、歩み寄る女性は本体と言うべき存在が見当たらず、鏡の中にしか確認できない。再び照明が落ちて画面が真っ暗になると、恐怖に震えた女性の叫び声が響き渡り、その声が消えるとどこからども無く読経が聞こえ、映像も終了する。
感想
この巻では一番印象に残るものです。びっくりするような恐怖は感じませんが、シチュエーションに、そこはかとない不気味さが感じられます。ビデオテープが廃墟の病院にあったという話も、差出人が不明で詳細が全くわからないという状況も良いですね。女性の悲鳴というか、拒絶するような叫びが、結構時間的に長いのが気になります。いったい何をされているんだよといった感じです。首を絞められているなら声は出せないだろうし、やっぱりどこかに引き摺り込まれようとされていたのでしょうか。
ドッペルゲンガーみたいなもう1人の女性ですが、服装は全く同じなのに、袖の長さが異なるのが気になりました。本体の女性は七分袖くらいなのですが、もう1人の女性はなぜか手首まである長い袖のように見えます。何か意味があるのでしょうか。
ひとりかくれんぼ(ちょっとだけ怖い)
概要
投稿者がネットで流行っていた(当時)、「ひとりかくれんぼ」と言う、一種の降霊術を行った際の映像。この儀式の最中は、TVを砂嵐(スノーノイズ)状態にしておくのだが、降霊に成功すると、ここに何かが映ることがあるらしい。投稿者はカメラを固定し、テレビ画面を撮影しておくことにした。儀式が終了し戻ってくるとなぜかカメラが倒れており、これを回収する際の砂嵐の画面に、人影のようなものが写り込んだというのだ。
ここでまず最初の映像が紹介される。砂嵐を撮影していたビデオカメラがひとりでに倒れてしまう。戻ってきた投稿者がカメラを回収する際、後ろにあるテレビに人影がシルエットで映り込み、右に横切る。だが製作委員会は、この後、投稿者の広井さんと連絡が取れなくなってしまい、これ以上取材を進めることができなくなってしまう。
1年余り経過した後、今度は別の投稿者から広井さんの映像とほとんど同じ映像が投稿されてきた。最初の映像より幾分時間が長いもので、広井さんがビデオカメラに手を伸ばすところまで記録されていた。この映像の投稿者、新垣さんは、清掃を請け負う会社でアルバイトをしており、とあるアパートの清掃の際にこの映像が記録されたビデオテープをトイレの水タンク内で発見したという。清掃にあたった部屋はかつての住人の生活物がそのままであり、一見して居住者が失踪したか、病気や事故などで亡くなってしまったように感じたが、個人情報の守秘義務の観点からか、何も詳しい事情は知らされなかったという。
新垣さんは本当は禁止されているものの、興味本位の誘惑に負けてこのテープを密かに持ち帰ってしまい、視聴してしまったという。彼によると、後日そのアパートを通りかかった際には、もう既に次の住人が住んでいることが確認されたという。
ここで、2番目の映像が紹介される。途中までは広井さんの映像と同じであるが、若干画質が荒れている。広井さんがビデオカメラに手を伸ばすところまで映像が続いており、テレビに映る人影もさらに左に移動するものが映っている。そして広井さんの背後に手招きする男性が写り込んでいる。
彼が何故後半部分をカットした映像を投稿したのか、なぜ突然失踪してしまったかは謎のままである。
感想
双方の映像はそんなに怖くありません。ですが、
- 何故広井さんは映像の肝心な部分をカットして投稿したのか
- 何故広井さんはビデオテープをトイレに隠したのか
- 何故ちょっと画質が荒れているのか(ダビングした?)
写り込んだ男性の姿は、広井さんの体の影になってしまっていて表情が伺えず、それほど怖くはありません。ただ、上述の訳の分からない謎が恐怖を演出しています。
尚、現在のデジタルテレビでは砂嵐というものも、もう見ることは無くなってしまいましたね。
霊域(怖くない)
概要
大学生グループが宴会場で盛り上がっている、サークルの合宿の一コマ。その宴会場の舞台の壁に、投影されたような人物の白いシルエットが歩いていた。スタッフはこの映像を精査して、テーブルの下にも真っ赤な人間の手と思しきものが存在するのをさらに発見した。
投稿者が知り合いの占い師に見てもらったところ、この合宿所はあの世とこの世の接点になってしまっており、あの世の存在が現れやすいとのこと。また当時、サークルのメンバーから、この合宿所で不気味な鳴き声を聞いたというものが続出したそうである。
感想
なんか盛り上がった感じがとても楽しそうで全然怖くありません。テーブルの下の手は真っ赤っかで気持ち悪いですけれど。
巨女(怖い)
概要
若者グループがログハウスで楽しむ一夜。思い思い過ごす彼らであったが、映像にノイズが走り、ちょうどボクシングの真似事で遊んでいる男性2人の背後にある、ついたての上から女の顔が姿を表す。そのついたては2メートル近くの高さがあり、その上から顔を出すには身長がそれ以上でなければならず、通常では考えられないのだが。
感想
前エピソードに引き続き、若者たちが楽しそうです。ただし怖さ的には比べ物になりません。
にゅっと出ている顔はモノクロでかなり不気味。つたない足取りで歩いてくるのも、存在感があってポイントが高いです。また、ちょうど顔が現れる時の画像ノイズが、良い雰囲気を出しています。ボクシングの真似事をする若者2人ですが、わざわざ宿泊先までパンチングミットを持参するという本格的なものです(笑)。
さて、エピソード内では触れられていませんが、この映像のボクシングの真似事が始まってすぐ、右の窓に下から上へ動く、割と大きい得体の知れない何かが映っているのですが、なんなのでしょうか。確かめるべく何度も繰り返し見ていたら、こっちの方が怖くなってきました。
アメリカの友人(怖い)
概要
アメリカに留学している友人、沢田さんとビデオチャットで会話を楽しむ投稿者の高遠さん。沢田さんの部屋で、何かが後ろに見えた感じがした投稿者は、この映像の録画をすることにした。しばらくは何事もなく過ぎていったが、沢田さん側の映像に何かを叩いたような異音が何度も響き渡る。かなり大きな音なのに、彼女は全く気がつかない。すると沢田さんの首に何者かの手が回り込んだかと思ったら、彼女ごとかき消すように消えてしまった。これ以来、沢田さんは遠い異国で行方不明になってしまったという。
編集スタッフの1人である庄司氏が、彼の友人から、アメリカのとある大学の学生寮で住人が行方不明になってしまうという噂があることを聞きつける。その友人である坂上さんへの取材を行うと、シカゴの大学の寮の話で、奇しくも沢田さんが留学していた大学の寮と同じであった。その寮では数年ごとに学生が消えてしまうとのことであり、悪魔が住み着いているとの噂であった。
感想
ビデオチャットでリアルタイムで消えてしまうのは怖いですね。しかも相手は全然気がついていない。今でこそ珍しくもないシチュエーションですが当時は大変新鮮でした。ただ、後ろか伸びる手がちょっとわざとらしいのと、首に手を回して引きずり込むというよりは、服の中に手を入れて胸を触るような、いやらしい手つきに見えたので怖さが和らいでしまったというか、なんというか。
あと演出捕・中田氏の髪型が変わってしました。彼女は髪が長いほうが似合っていると思いますよ(笑)。
シリーズ監視カメラ・残像霊(怖くない)
概要
キャバクラ店内の監視カメラ映像。客が帰る際にキャバ嬢たちが見送るために席を立ったところ、その中の1人の両足が何故かテーブルの下に残り続ける。そしてしばらくすると立ち上がるように消えてしまう。このキャバ嬢は1年後に病で亡くなったそうである。
感想
興味深い現象ですが怖くはありません。
出生祝い(ちょっとだけ怖い)
概要
20年以上前の映像。投稿者の出生祝いに神社を訪れた際、神主が祝詞をあげる風景で、後ろから白い着物を着た女が現れ、参列者の背後に並んで座る。
感想
またまた「白い着物の女」w。青い着物と言っているけど、顔から何から全部青いので白い着物のように見えます。顔の辺りが不鮮明でちょっと不気味ですな。今回も着物の合わせが死装束のような気がしますが、画質が悪くてよくわかりません。
パントマイム(少し怖い)
概要
大学の友人(細川さん)が趣味で大道芸人のような活動をしており、パントマイムの練習の光景の撮影を依頼された投稿者の戸田さん。細川さんの到着が遅れ、夜になってしまい、暗い中での撮影をためらう戸田さんではあったが、細川さんは「せっかくだから」と言うので、少しでも明るところを探し、近所の公園で撮影することにした。
撮影を始めると、パントマイムの最中に突然画面にノイズが走り、不気味な白い人影が蠢(うごめ)く姿が映し出されてしまった。投稿者は驚いて思わずカメラを止めてしまい、細川さんにはカメラの調子が悪いとその場ではごまかす。撮影を中止し、帰宅途中でも彼に白い影がまとわりついている気がしたが、部屋に帰る頃には消えてしまった。そしてこれ以来、細川さんとは連絡が取れなくなってしまったというのだ。大事な友人らしく、戸田さんは映像を投稿することによって何か手がかりが得られるかもしれないと思ったようだ。
現場の公園に案内する戸田さんであったが、あの画像に恐怖を感じている彼は途中で引き返してしまう。スタッフが訪れた公園は何の変哲のない小さなものであったが、過去にホームレスが凍死してしまった事件を確認する。当時の新聞記事で睡眠薬を服用しての自殺と判断されたようだ。
この事実を戸田さんに報告すると、彼は細川さんの父親も失踪後自殺している話を聞いており、この公園で亡くなった人物は細川さんの父親なのでないかと語った。だが、スタッフが調べてもこれ以上の情報は得られなかった。
ここで映像が紹介される。
細川さんがなかなかうまいパントマイムをカメラに向かって披露。突然映像がフリーズし、横長の柵のような灰色の長い帯が横切って画面を上下に分割してしまっている。戸田さんが画面の不調を訴える音声が確認できるので、不調なのは映像のみのようである。細川さんがカメラに駆け寄ると映像は動き出すが、ゆらゆらと揺れ動く白い人影が背後に現れ、映像は終了する。
感想
オランウータンのような動きで白いシルエットが動いている様子がなかなか不気味。この人影ですが不鮮明なのはともかく、腕の後ろだかどこかにもう一本ひも状のものがぶら下がっているような感じがして、どうみても普通の人間のシルエットに見えないんですね。そのあたりが気持ち悪いです。
次巻予告(怖くない)
概要
涙ぐんだ様子の元演出補・岩澤氏
「病院に…いるんですけど…菊池が…ぐすっ」
感想
ついに菊池氏が見つかったようです。次巻から、岩澤氏とともに再登場のようですネ。
感想まとめ
児玉氏ほん呪最終監督作ですが前後編に分かれたメインエピソードがあるわけでもなく、わりとあっさりとした印象です。とはいえ、「クラシックバレエ」、「巨女」、「アメリカの友人」といったインパクトのあるエピソードも楽しめました。
予告での岩澤氏再登場への期待感が当時ありましたね。今までは戦列を離れたスタッフはそのままフェードアウトしてゆくものだと思っていましたから。その後、監督は岩澤氏へさりげなくバトンタッチされていくわけです。
コメント
「最期の作品」死んだの?
「逸話」? 単語の用い方を誤っていますね。
ジェイさんこんにちは。
「最期の作品」では遺作みたいですね。「最後の作品」の誤変換なんですけど、これでも遺作みたいな感じになってしまいます。「ほん呪で監督を務めた最後の作品になります」に表現を改めましたがいかがでしょうか。
「逸話」は人物や物事に対する「あまり一般に知られていない話」と言う意味でしたね。こちらは完全になんとなくの理解で誤って使ってしまいました。お恥ずかしい。
ご指摘ありがとうございます。
学がないもので、時々やらかしますので、またご教授ください。