はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ51」です。今回も私的BEST10の第2位に輝く、「夜警(夜の警備)」が登場します。しかも初っ端に。心臓にご注意ください。
夜警(夜の警備)(めちゃ怖い)
概要
若い男女3人のグループ。とある場所で心霊スポット巡りを行う。次のスポットである吊り橋を目指す車は、1車線の狭いトンネルに差し掛かる。一部が手彫りの不気味なトンネルを抜けたところで、撮影している投稿者は、道の傍に警備員のような姿の人物が立っていることに窓越しに気がつく。慌てて車を停めさせるが既にそこには誰もいない。同乗者たちは何も見ていないと語るが、確かに見たと確信する投稿者は釈然としない。気のせいかとも思ったものの何かを感じ取った投稿者は、カメラを赤外線モードに切り替え、フロントグラスに向ける。すると唸り声をあげながら半透明の警備員が猛スピードで迫ってくる。
感想
以前レビューしたものを再レビューしました。
とても好きで怖いエピソードです。もう何回も見ているので、最近は慣れてきてしまいましたが、初見では座っていた座布団ごと飛び上がりました(そのくらいびっくりしたという表現ですw)。今、冷静に見るといかにも作り物っぽい感じがするのですが、「ううおおぉ〜」という唸り声をあげて突進してくる幽霊のスピード感が、このエピソードの肝だと思います。本呪初期の傑作、「疾走」に通じるものがありますね。
現象をただ1人目撃してしまった投稿者がビビりまくり、「出せ!出せぇ!!早く出せぇ!!出せって言ってんだろうがぁくそがぁ!!!」、とそこまでは言ってませんでしたが、鬼気迫った彼の叫び声が臨場感にあふれていて、見てるこっちも「訳わかんなくてもいいから、とりあえず早く車出してやれよ!」と言いたくなってしまいます。危機を認識していない他のメンバーに対するもどかしさや焦燥感が、さらに怖さを盛り上げているように思います。
さて、このトンネルなんですけど、秩父湖、二瀬ダム直近の「駒ヶ滝隧道」ということがわかりました。現在は道路の付け替えで廃トンネルとなっており、厳重に封鎖されているので中に入ることはできません。このトンネルは途中で2方向に分岐する珍しいものになっていますが、映像はその分岐を過ぎてから始まっています。また、トンネルを出てすぐに右折するしかないのですが、そのシーンは真っ暗になってしまっていて、映像内ではわからないようになっているあたり、ちょっと作為的なものを感じてしまいます。
ちなみにこのグループが目指していた吊り橋は、この道の先にある「秩父湖橋」でしょうか。こちらは対岸の道が土砂崩れで、長らく封鎖されているようです。秩父湖にはもう1つ「大洞川吊り橋」という吊り橋があって、稲川淳二で有名になったのはこちららしいです。大洞川吊り橋に行くには先ほどのトンネル内分岐を左に行く必要があります。
「駒ヶ滝隧道」の在りし日の姿は、前回も紹介した「山さ行がねが」のこちらでレポートしています。
新道付け替え後はこちら
Googleのストリートビューでも見ることができます。
youtubeでも走破した車載映像を見ることができますよ。
尚このエピソード、私が観た頃はタイトルが「夜警」でしたが、いつの間にか改題されて「夜の警備」となったようです。なんでしょう、何かのコードに引っかかったのでしょうか。そう言えば「夜警」という単語も今日日あんまりお目にかからないですね。
悪戯(少し怖い)
概要
投稿者の部屋の前にゴミがぶち撒けられるといった悪戯が頻発するので、友人に協力を仰ぎ見張っていたところ、その犯人を捕まえる事に成功した。激しく詰め寄る投稿者だが、犯人は何も答えようとはしなかったうえに、隙を見て逃げ出してしまう。その際の映像から警察はこの男を検挙できたが、そこには不可解なものも写り込んでいた。
男の首に蛇のように纏わり付く黒い髪の毛が現れては消える。更に腰のあたりに目の異様に大きい、不気味な女の顔が確認できる。あの男性はこの女の霊に操られていたと言うのだろうか?
感想
女の顔は少し怖いですかね。でも蛇みたいな黒い髪の毛の方が異様で気持ち悪かったです。怖さ的には小粒ですけど。
空中楼閣(怖い)
概要
川釣りが好きな投稿者たちは山奥の貸別荘に集まる。宿泊者がそれぞれの思いを自由に綴る、「思い出ノート」のページを何気なくめくっていると、「ゆうれいのでるばしよ」との子供の字に目が止まる。そのページには簡単な地図も描かれており、程近いことが分かったので、行ってみようと言う事になる。その場所付近の寂れた道を歩いている所から映像は始まる。
地図に描かれた付近に到着するも、辺りは鬱蒼とした森でばかりで、これと言ったものは何もないと思われたが、森の中の、割と高い位置に何かの光が点滅しているのを発見する。仲間たちはUFOだと騒ぐが、その位置は空ではなく、森の木々である。そんな高い位置に建物などあろうはずがない。投稿者はその光にカメラをズームインする。すると、まるでサッシの窓のような四角い明かりが確認できる。そしてその明かりの中には、一人の子供と大人のような人影がシルエットで浮かび上がっていた。子供の影はこちらに手を振っているように見える。繰り返しになるが、ビルでも建っていない限り、あのような位置に窓が見える筈はないのである。
怖くなった投稿者はカメラを伏せ、無言でこの場を去ろうとする。「どうしたんだ」との仲間たちの声で映像は終わる。
感想
雰囲気が怖く、好きなエピソードです。あんな所に窓なんかあるはずないので、まるで異世界を覗き込んだ感覚に陥ります。投稿者が見つけたノートのページが影も形も無くなってしまうというのも、何かに魅入られて呼び出された感じがして怖いですね。ただ現場が近いとはいえ、「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」と絡めるのにはちょっと疑問符がつきます。
また、このエピソードでは部下に優しくない岩澤の言動が、後に語り継がれるほど印象的です。
川居 岩澤さんなんか骨が…
岩澤 川居それひっくり返して
川居 えっ?これ、触っても大丈夫ですかね
岩澤 早くして!
岩澤 大きさ比べたいからあそこまで行って
川居 はい テクテク…テクテク…
岩澤 急いで!
昔、渡邊氏にも辺りがキツかったですもんね。でも横田氏には何故か敬語w
むげねえ(少し怖い)
概要
廃墟を探索するのが趣味の投稿者。とある海沿いの廃墟の部屋で何か違和感を感じた。彼は帰宅後映像をチェックすると、その部屋にうっすらと女性の影が写り込んでいた。それだけでなく「むげねぇ…」と、つぶやく女性の音声もはっきりと記録されていた。
「むげねぇ…」とは大分地方の方言で「かわいそう…」、「ひどい…」という意味だそうだ。
感想
定番の黒髪ロングで白い服。合成くさくて怖くはありません。でも「むげねぇ…」の声はとても寂しげで、印象に残ります。
溶怪(怖い)
概要
投稿者、小野寺さんは女性をナンパしてホテルに連れ込んだ…らしい。と言うのも、その女の顔や何を話したのか、そもそもベッドを共にしたのかすら覚えていない。あれは夢だったのかとか思っていたらラブホのライターがポケットから出てきた。そればかりか携帯のメモリーに撮った覚えない映像があったのだ。その映像は女がベッドか何かに横たわっている感じで顔だけが大写し。そしてその顔がだんだん溶けたように崩れていくという不気味なものであった。
投稿者のまわりでもおかしなことが起こる。同僚が渋谷で女連れの小野寺さんを見かけるが、彼は身に覚えがなかったり、総務の女性が彼に内線電話をかけたところ、小野寺さんはデスクにいるのになぜか女性が内線に出てブツブツつぶやいていたそうである。スタッフはこのことを彼の同僚から聞いたのだが、小野寺さんは最初のインタビューではこの件については一切触れていなかったのである。
小野寺さんがなんか変だと感じたスタッフはこのことをなぜ教えてくれなかったのか問い詰めてもあいまいな返答ばかりであった。彼の言動からスタッフは小野寺さんが何者かに取り憑かれているのではとの懸念を抱く。
ここでその映像が紹介される。ベッドに横たわった女性の顔。その姿は身じろぎもしない。だが徐々にその顔はろうそくが溶けるように崩れていく。
菊池は小野寺さんの協力を仰ぎ、ビジネルホテルに篭ってもらい、その様子を終始撮影してみるという提案をする。
感想
結構気持ちの悪い映像です。エピソード内では言及されていないのですが、終始女性のボソボソつぶやくような声が聞こえ、どうも歌っているようにも感じます。赤ん坊のような声もかすかに1回だけ聞こえるので子守唄なのでしょうか?、うーん、そうでもないような。どちらにしろ不気味であることには違いありません。崩れ方は、肉が腐ってというより、蝋人形が熱を加えられてという感じで、どうにも自然の崩れ方じゃないですよね。
シリーズ・監視カメラ 古本屋(興味深い)
概要
古本屋の監視カメラ。入り口に向いたカメラと、カウンターレジに向いたカメラが一定時間ごとに交互に切り替わるタイプ。入り口に向いたカメラに喪服を着た女性が後ろ向きに歩いて入ってくる。数秒後、カウンターレジに向いたカメラに切り替わるが、方向から女性の横からのアングルのはずなのに、この女性はなぜかカメラに背を向けている。再びカメラは入り口のものに切り替わるがこちらも背を向けたまま。同時に録画しているのに両方背を向いているのことはありえない。
感想
どっちのアングルでも背を向いているという、理屈ではありえない感じが新しいですね。怖くはないですが、ガチなら大変興味深いです。
ベッドの下 開かずの部屋(かなり怖い)
概要
夜ベッドの下で何やら音がして気になってしょうがない投稿者。友人のアドバイスに従いカメラをセットしてみる。翌朝カメラが倒れていたのが気になり、映像をチェックするととんでもないものが写っていた。
隣室を隔てる壁と、床の間から黒い靄のようなものが湧き出てくる。それが消えたかと思うとカメラが突然倒れる。その瞬間不気味な顔が姿を現した。
隣室は開かずの間のようになっていて、入り口は釘で打ち付けられ、完全に封鎖されていた。投稿者はすぐに転居したそうだ。
感想
出てくる顔が怖いですね。絶対この世のものじゃないだろ感が満載で、「ガタッ!!」と言うカメラの音にびっくりした瞬間に現れるので、かなりドキッとします。このアパートの取材ができなかったのが残念。
それと投稿者の女性が羽織るカーディガンの柄が気になって仕方がなかったです(笑)。
溶怪・後編(怖くない)
概要
菊池の提案に対し小野寺さんは協力してくれたため、彼の休みを利用し、ビジネスホテルに2日間軟禁と相成った。隣の部屋で待機する、菊池と新演出補の井ノ上。万全の監視体制かと思われたが「空中回廊」の貸し別荘にて取材中の岩澤に、慌てふためいいた菊池の連絡が入る。小野寺さんがいなくなってしまたというのだ。実は菊池はコンビニ行きたいという小野寺さんの申し出に、監視もつけず許してしまったというのだ。小野寺さんは携帯も持たず、姿を消してしまった。
映像を確認すると、小野寺さんはドアの方を見つめ、何者かに頷いている様子が監視カメラに記録されていた。また、菊池にコンビニへ出かけたいと申し出た時の映像に、コートを着た女性の姿がはっきりと写り込んでいることも確認できた。ありえないほどの失態に頭を抱え、憔悴しきった菊池に、これ以上の調査は困難とみた制作委員会は一時的に取材からは外れてもらうことになった。
そんな中、小野寺さんが女性を連れ込んだとされるホテルの従業員に話を聞くことができる。彼によると、このホテルの203号室は従業員の中でも曰く付きの部屋として認識されており、男女2人で部屋に入っても男1人しか出てこないとか、何か不穏な空気を感じるので、だれも掃除をやりたがらないなどの話が聞けるが、具体的な事件や事故は確認できなかった。
失態により調査が暗礁に乗り上げてしまった責任を感じた菊池は、細作委員会からの辞意を岩澤に表明する。いったん現場を離れて修行をしたいとのことであった。岩澤は「必ず戻ってこいよ」と声をかけるしかできなかった。
感想
今まで有能だった菊池の大失態ですね。なぜ「僕も一緒に行きますよ」とか言えなかったんですかね。また、「空中楼閣」の取材中に知らせが入るというのも、臨場感があって良いと思います。映像的には小野寺さんの後ろに女が立っているだけなので怖くはないんですけど、その前の監視カメラの映像で、彼が悟ったように頷くのはちょっと不気味だったかな。あの視線の先には女がいたんですかね。
感想まとめ
「夜警」と「ベッドの下 開かずの部屋」がめちゃめちゃ怖く、「空中楼閣」が印象に残りました。「溶怪」は前編の映像が良かったのですが、後編が菊池の失態により中途半端になってしまったのが残念。
それにしても菊池の「修行に出る」に少し笑ってしまいました。忍者じゃないんだから。なんか岩澤が一時退場したシチュと似ているので、そのうち帰ってくるんだろうな、復帰後は監督やったりして(笑)と当時は思っていました。
コメント
この巻は見応えのある巻でしたね。
『夜警』は『夜の警備』にマイナーチェンジですか。「夜警」というとレンブラントの絵画(代表作)が有名ですが。。38巻『夜景』と音の上で区別したんでしょうか?
どこかのレビューにありましたが「これが作りだとしたら怖がる演技がうますぎる」と。
『空中楼閣』はもう一度観たいエピソードです。最近、YouTubeやニコニコ動画を丹念に探すとほん呪作品もけっこう観られる(変なアフレコや間抜けなBGMが付けられてる場合もありますがw)ことが分かったので、どこかにあったらいいなと(うちのDVDは不能なままです)。
そして『溶怪・前編』の映像ですが…これは全てが不気味なほん呪の中でも1,2を争う不気味さだと思います。そもそもこの女そのものが不気味!変化が起きる前からもう嫌です。途中ただ一度のまばたきで、それが作り物でないことが分かってゾッとします。
>38巻『夜景』と音の上で区別したんでしょうか?
この可能性があるかもしれませんね。「夜警」といえばレンブラントが有名でしたね。でも絵画芸術はさっぱりなんです(涙)。
>「これが作りだとしたら怖がる演技がうますぎる」
まさにその通りですね。怖がる様子では「警官人形」もなかなかリアルだと思います。あと、「闇鍋」、それと「空中楼閣」も。
>『空中楼閣』はもう一度観たいエピソードです
「空中楼閣」というか「ほんとにあった!呪いのビデオ」はU-NEXTにあります(78巻まで)。31日間は無料ですよ。油断しているとあっという間に1ヶ月経ってしまいますが。
>『溶怪・前編』の映像ですが…
これは気持ち悪さではピカイチですね。そう、1回だけ瞬きするんですよね。
「溶怪」の顔が崩れる女ですが、他の映像に映る霊とは違い何がしたいのかわからないところが 不気味で好きです。
普通この手の心霊映像に映っている霊は瞳孔が開ききっていたり不気味な笑みを浮かべていたりと怖い表情が多いですが、「溶怪」の女はこちらを見つめるときの表情にもそこまで悪意は感じませんし、自分の顔が崩れるというある意味自分自身にもダメージを与える行為を行っているので本当に怖がらせたいのかわからないところが逆に怖いです。
似たようなことがXXXシリーズの「クニコ」にも言えると思っていて、あちらも何がしたいかわからない不気味さがあります。
両者とも今までにないタイプの霊でとても印象的です。
その分「溶怪」の女は後編で投稿者の後ろに立つというある意味凡庸な登場をしていたのが少し残念でしたw
長文失礼しました。
溶解は気味悪いですよね。
溶け方が怪異、というか生き物ですらないんですよね。
後編がグダグダなのは残念ですね。