はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ56」です。今回より岩澤に変わり、なんと菊池が制作委員会に復帰し、監督(本呪上の肩書きは演出)を務めます。さらに私まとめた「私的ベスト10」第10位、「手鏡」が収録されています。
大女(怖い)
概要
バイト仲間と遊びに出かけた先で宿泊した、コテージで撮影されたもの。メンバーの1人の友人が頭痛を訴え、早々と就寝してしまった。投稿者はしばらくしてから、この友人の寝顔を撮ろうと寝室に向かう。部屋が真っ暗なので、ビデオカメラのナイトモードに切り替える投稿者だったが、寝ているはずの投稿者の様子がおかしい。目を見開いて天井を見つめているのだ。不審に思ったカメラが、その視線の先である天井を向くと、頭が天井に届かんばかりの大きな女が見下ろしている。投稿者がその存在に気がつくと、その女はこちらに向き直る。投稿者は驚きの声をあげると、カメラを取り落としたのか、画面が激しく乱れて映像は終わる。
当時、この友人の意識はあり、この女の存在に気が付いていた。だが、金縛りで動けなかったという。投稿者が部屋の電気をつけると、その女の姿も消えたそうだ。彼は、帰宅してからも頭痛が治まらなかったため、病院で検査を受けたのだが、これといった異常が見つからず、今も入院中である。気になったこととして、この友人はコテージまでの道すがら、湖に架かる橋のフェンスにふざけて登った後に、彼の頭痛が始まったとのこと。この橋は心霊スポットして有名であった。
感想
女の姿は髪の毛が長くぼっさぼさで、かなりおぞましい、恐ろしい姿でなかなかの怖さです。友人が目を見開いていたというのも、シチュエーション的に怖い雰囲気が増しますね。ただ残念ながら、この友人の顔はモザイクがかかってしまっており、その表情が窺えないのが、大変惜しいと思います。これは未だ入院中である為、顔出しの許諾が得られなかったという設定、じゃなかった事実の為に仕方がないのですが…。
あと、今回見返して思ったのですが、最近私は部屋を暗くして観ているのですよ。テレビにリビングのソファやらの家具などが映り込まないようにするのが目的なのですが、そのような環境で観ると、どうにも作り物っぽく見えてしまう場合もあるのですね。今回もそうで、なんか大きい女というよりは天井から吊るしてあるようにも見えてしまいました。
あるはずのないモノ(少し怖い)
概要
投稿者の女性が彼氏とドライブ中に助手席から撮影。帰りが遅くなったのか、夜中にカーブの連続する山道を走っているようである。すると、突然彼氏が車を止める。彼は何かにぶつかったような感覚から車を止めたようだが、その後、投稿者に何の説明もなく車を降りて歩き出してしまう。追いかける彼女。彼氏は、道端にフルフェイスのバイク用ヘルメットが落ちているのを見つける。付近のガードレールは凹み、穴が空いている。ヘルメットはここで事故ってしまった被害者のものであろうか。彼女のカメラが3回目にヘルメットにカメラを向けたとき、その中には血だらけの男性の顔があった。
感想
これもちょっと作り物っぽい。顔の血も血糊にしか見えないです。はっきり映りすぎたせいでしょうか?。雰囲気はバッチリな映像なのですが…。
リベンジ(怖くない)
概要
投稿者の安藤舞さんは、最近急死した兄の遺品の携帯電話から、ある動画を発見する。それは居酒屋での様子で兄の顔が不気味に変形するというものであった。安藤さんの兄、安藤智之さんは駅のホームから転落して亡くなっており、自殺なのか事故なのか原因は不明で、この不気味な映像が兄の死に関係があるのかもしれない、と制作委員会に持ち込んだとのことであった。舞さんによると智之さんは死の一週間程前から、部屋に閉じこもり気味になってしまっていたそうである。
撮影者の佐々木さんに話を聞くと、映像は佐々木さんが撮影し、知之さんにメールで送ったものであるとのこと。この居酒屋での飲み会以来、知之さんの様子がおかしくなったそうである。どうにも元気が無くなってしまい、何かに怯えている様子でもあったそうだ。映像に一緒に写る、渡辺さんにも話を聞くと、やはり様子がおかしくなったことに、彼は気が付いており、ある日、サークルの部室で「アヤノのムービーがやばい」、と電話口の相手に訴えている場面を目撃したという。何のことであるかを尋ねても、言葉を濁してしらばっくられてしまったそうである。渡辺さんによると、このアヤノさんという人物は智之さんの元カノで、交際期間が短かったため苗字すらわからないという。だが、智則さんが一度だけカラオケに連れてきたことがあり、渡辺さんの携帯に彼女を撮影した写メが残されていた。さらに、とある駅付近のコンビニでバイトをしていたという情報を得る。
取材班はこの渡辺さんの写メを頼りに、その駅周辺に聞き込みを行い、アヤノさんを知っている店員を見つけ出す。彼女は小松アヤノさんといい、この店員はアヤノさんの専門学校の後輩であった。小松さんは半年ほど前にバイトは辞め、ひと月前に自宅マンションのベランダから落ちて、亡くなってしまっていたそうである。彼女は元カノから復縁を迫られ、それを断ると、腹いせから自身の裸の動画をネットに流出させられてしまったそうで、心労から鬱を発症し、学校もやめてしまった。転落の原因は自殺ではないかとの噂である。
はたして動画を流出させ、小松さんを自殺に追いやったのは智之さんなのであろうか。
ここで、問題の映像が紹介される。
居酒屋で何気ない会話を交わす智之さん。突然映像が静止し、左端に智則さんの半透明の残像のようなものが写る。すると彼の顔が、醜く歪んでしまう。
感想
「わたしお兄ちゃんのことが大好きだったので、どうしてこんなことになったのか知りたくて、親には反対されたんですけど、この動画とお兄ちゃんの死んだことと何か関係があるのか、調べてもらいたくて投稿したんです」と言う投稿者の発言が健気で可愛いですね。
さて、映像ですが顔がゆがむ系は今まで何回もあったので、慣れていればさほど怖くはありません。今回は顔の半面同士が逆に回転するような、今までになかった歪み方ですが。
取材の過程で、岩澤が現れず、川居さん以外のスタッフも一新されていることに気がつきます。そしてかつての岩澤の立ち位置に、菊池が収まっていることも。出世したなぁ。
シリーズ・監視カメラ 商店街(怖くない)
概要
とある商店街に設置された監視カメラ。シャッターの閉まった店の軒先に、ダンボールを敷いて寝そべるホームレスの男性。しばらくすると、この男性の体から抜け出すように半透明の姿が立ち上がり、自分の寝姿を一瞥して立ち去り、消えてしまう。
商店街の役員である投稿者は、事務所に保存されているテープからこの映像を発見したそうだが、他の役員に、このホームレスがどの後どうなったのかを聞いても言葉を濁され、教えてもらえなかったそうである。
感想
幽体離脱みたいですね。怖くないですが、離脱した半透明の存在が、自分の寝姿(死体?)を一瞥して去っていくのが印象的でした。
手鏡(超怖い…?)
概要
夜の公園を歩いている男女二人組のカップル。彼氏が撮影しており、彼女はかなり酔っ払っている様子である。すると公園の植え込みの下から古い手鏡を彼女が拾う。その手鏡でテニスの真似事などをして遊ぶ彼女であったが、鏡越しにカメラに視線を送っているシーンでその鏡に顔が焼けただれたような女の顔が覗き込む。その瞬間、鏡がパーンという音とともに突然割れ、驚いた彼女は鏡を放り出してしまう。放り出された鏡にはもう何も映っていない。
投稿者によると、後日彼女に部屋にこの割れた手鏡があり、理由を聞くと「何となく気に入ったから」とのみ答えたそうである。この彼女がこの機を境に豹変し、非常に怒りっぽく、きつい性格になってしまい、言い合いが絶えず、結局別れてしまったそうである。
感想
以前レビューしたものを再レビューしました。
ほんとにあった呪いのビデオ私的BEST10(ネタバレあり)手鏡
別の女が鏡に映った瞬間に、パーンと割れるタイミングが絶妙で、びっくりします。ただ、「大女」でも言いましたけど今回見直して、写り込んだ女の顔がさらに作り物くさいなあと感じてしまいました。顔のディティールがはっきり映りすぎな感じがするのですよ。なんか昔のホラー映画のメイクに見えてしまうのですね。「超怖い…?」と?(はてな)がついてしまったのは、今回評価を改めたくなってしまったからです。「かなり怖い」くらいですかね。初見の時は本当に怖いと思ったんですけど。
バックカメラ(少しだけ怖い)
概要
投稿者の車に取り付けられたバックカメラの映像。走行中に録画し続ける設定にしてあったそうだ。車は大型ショッピングモールのような駐車場にバックで駐車する。すると、隣に駐車してある白いワンボックス車の窓に目から血を流したような男の顔が写っている。
感想
よく見つけたなという感じで、本当によく見ないとわかりません。部屋の明かりを消し、テレビを食い入るように見ましょう。確かに写っているのですが、ほんの一瞬で、しかも小さいのでそんなに怖くありません。本当にガチで映ったのなら、このワンボックス車で男の子に何があったのだと、考えを巡らせてしまい、少しだけ怖いですね。
夜の住人(少し怖い)
概要
狭い飲み屋での映像。カウンターの下にカメラを向けると、男の子が寝そべっている。すぐにこの男の子は目を開ける。その眼窩は真っ黒。撮影者は驚きの声を上げる。
感想
これも初見では男のが薄く写っているだけで怖くないや、と思っていたのですが、今回の見直しでは、カメラがとらえた瞬間に閉じていた目を開けているのに気がつきました。少し怖いです。
なんだろう、うちのテレビ買い換えて性能が上がっているのかしら。
リベンジ 後編(少し怖い)
概要
取材班は投稿主の舞さんに小松さんや、小松さんの流出映像に関して問い合わせるも、まったく心当たりはないし、兄の携帯にもそのような映像は見当たらないという。さらに智之さんの調査を進め、彼の高校時代の友人である金子さんに話を聞くことができた。彼によると、小松さんの映像を撮ったのはバイト先の同僚、宅間さんという男性ではないかとのことであった。
小松さんは智之さんと別れた後、宅間さんと付き合っていたが、別れた直後、その宅間さんから小松さんの動画が送られてきた。宅間さんはストーカー気質の男で、過去にも別れた彼女の裸の写真を送ってきたことがあったそうである。金子さんはアルバイト先で小松さんと宅間さんが口論している様子を目撃したという。「訴えてやる」と詰る彼女に、「俺がやったんじゃない、智之がやったんだ」との宅間さんの発言を聞いてしまったそうだ。この件を宅間さんに追求すると、言葉を濁されてはっきり答えてくれない。そして宅間さんは何かに怯えるようになってしまい、バイトを辞めてしまった。その後、智之さんからは「ムービーがやばい、何か変なものが写っている」という電話があったそうだ。その動画を見せてもらう約束をしたが、その前に智之さんは亡くなってしまった。「アヤノのムービーがやばい」という言葉は映像が流出したことではなく、その映像に何か変化があったという意味だったのか。
取材班は安藤さんに再度連絡し、智之さんの携帯を借りて直接確認してみることになった。機械に疎い妹さんでは何か見落としがあるかもしれないからだ。確かに携帯電話での操作では、映像は見当たらないが、パソコンを直接つないでその映像を見つけることに成功する。そして、その映像に不可解なものが記録されていることを確認することができた。
宅間さんに話を聞こうと、彼の自宅に直接向かう取材班であったが、ドア越しに呼びかけても応答がなかった。その際、すりガラス越しに何かが動くのを川居が見つける。部屋の中は真っ暗だが、中に宅間さんがいるのかもしれないと思った取材班は交代で張り込む。ドアが一瞬開いたため、中に宅間さんがいることを確信、ノブを回すと鍵がかかっていなかったため、声をかけつつドアを開けると、部屋の隅にうずくまっている宅間さんを発見する。だが何を語りかけても、宅間さんは何かに怯えている様子で何も答えない。彼に問題の映像を見せようとすると、逆上し、暴れまくる宅間さんに部屋を追い出されてしまった。話にならず、退散するしかない取材班。
数日後、金子さんから連絡があり、宅間さん亡くなってしまったという知らせが入る。宅間さんは夜中に車の前に飛び出し、轢かれてしまう。状況から自殺のようであった。事故の傷の他に、明らかな自傷行為の傷が多数あったという。金子さんへの知らせは、宅間さんの父親からだったそうだが、それとは別に宅間さんからメールが来ていたという。このメールは友人たちに一斉に送信されたものであった。その内容は支離滅裂で意味のわからないものであったが、文章の端々から、これは自分の苦悩と謝罪を意味するものと推測できた。さらに、智之さんが同罪であるかのように見受けられる文面も存在した。
ここで、智之さんの携帯に残されていた映像が、下記の警告とカウントダウンの後、紹介される。
これからご覧いただく映像は
非常に危険な為、心身に深刻な
悪影響を及ぼす可能性があります。
影響されやすい方や
気の進まない方は
再生を止めてください
カウントダウン
ラブホテルのベッドで小松さんが横たわってカメラを見上げている(布団をかぶっているので体は見えない)。小松さんがカメラを持ち、今まで撮影していた宅間さんに向けた直後、画面にノイズが走り、別の映像に差し代わる。それは暗い部屋で歌うように、か細く呻く不気味な女性の姿。その女性はカットごとにこちらに近づいてくる、最後には顔が大写しになり、口を大きく開け絶叫し、映像は終わる。
当初制作委員会は、智之さんの映像に変化が現れ、その後亡くなってしまったのは、宅間さんが彼に罪をかぶせたと思っていた。しかし、宅間さんの死の直前のメールから推測するに、智之さんも小松さんの映像流出に関して何らかの関わりがあったのかもしれない。少なくとも智之さんは流出の経緯を知っており、それを止めなかったのではないだろうか。一度ネット上に流れてしまったものは、完全削除することは困難である。この映像と小松さんの怨念は永遠に消えないのかもしれない。
感想
お嬢様風で上品な感じの妹さんの健気な思いにもかかわらず、兄はリベンジポルノの片棒を担いでしまっていたかもしれないという、なんとも気の毒な結果になってしまいましたね。妹さんかわいそう。張本人の宅間氏は自業自得ですが、智之氏が流出にどこまで関わっていたのかがよくわからないので、ちょっと悶々とします。
さて、映像はそれなりに怖いのかもしれませんが、どうも作り物くさくて、仰々しい警告の割にはそれほど怖くはありません。
感想まとめ
さて、菊池が監督に昇進し、川居さん以外のスタッフが入れ替わった、「ほんとにあった!呪いのビデオ56」ですが、映像の構成や雰囲気はバッチリなのに、怪異がはっきり映りすぎて怖くないな、という印象を受けました。ちょっと残念です。
特に「手鏡」は、ある日を境に、映りこんだ女性の顔が幽霊メイクをした吉田沙保里にしか見えなくなってしまい(笑)、評価を改めることになってしまいました。それでもこれは今でも好きなエピソードなんですけどね。その他には「大女」が印象に残りました。
コメント
この最後の警告映像の女が呻きながら近づいてくるこの部屋、よく見ると部屋は暗いですけど宅間さんの部屋にどことなく似ている気がします。
さすがに覚えていないので今度チェックしてみます。