はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ88」のレビューです。今回も新作案内の強制再生がありませんでした。3部作の真ん中ということもあり、メインエピソードはちょっとダレ気味です。
見てはいけない(怖くない)
概要
自分の部屋に遊びに来た友人を驚かせようと、風呂場に突撃する投稿者の女性。風呂場のドアを開けた先には背を向けて頭を洗う友人の姿。その首筋には人の口があった。
感想
何を言っているのかよくわからないかもしれませんが、首筋に生々しい人の口が人面疽のように埋まっていて、ぽっかりと口を開けています。妖怪「二口女」みたいですね。
その口はなぜか上下逆さまに見えます。肌の色が異なり、ちょっと合成臭いのが残念。でも、フェイクなら、絶対目鼻も合成して、怖くしようと思いますよね。そのあたりが作り物とも言い切れない、奇妙な映像です。
いるはずのない同級生(かなり怖い)
概要
卒業生を送るための中学校の行事を撮影した、10年ほど前の映像。カメラが壇上で卒業生へのメッセージを読み上げる在校生を順番に捉えていく。その中の1人の男子生徒の顔に激しいノイズが走り、その生徒の顔は時折消えてしまっている。そしてカメラが舞台の袖まで達した時、どことなく不気味な顔が袖から覗いているのを捉えてしまう。
投稿者の女性、蒼さんによると、袖から覗く顔はいじめを苦にして自殺した男子生徒で、この映像を撮影した頃にはこの世にいないはずだと語る。また、ノイズが走った男子はこの男子をいじめていたそうで、後に顔に障害が残るほどの大怪我を負ってしまったそうである。
映像が紹介された後、インタビュー映像内の蒼さんが、この自殺していた男子に「クラスで浮いていた」、「隠キャだった」等とディスった後、これはいじめというより「いじり」の延長であったのでないかと語る。そして映像が採用された際の謝礼金の話になった時に、彼女の顔に同様のノイズが走り、舞台の袖のあの顔が再び現れた。
その後投稿者、蒼さんとは連絡がつかなくなってしまったそうである。
感想
舞台の袖から覗く、男子生徒の顔はかなり不気味なものです。本当にそこにいた生身の人間の感じがしないんですよね。髪の毛は頭頂部が妙に少なく、ペトッとしていて濡れているようにも思えます。また、顔の一部が怪我をしているような、傷跡のような線も見えます。首をニュっと伸ばして、なんとなく体と顔のパースに不自然さを感じます。映像から見切れる瞬間、いじめた男子の方を一瞥するのも怖いですね。カメラはこの男子の存在にに気が付いていたようで、「あれ?さっきそこに誰かいたのに」って感じで、消えてしまったあたりを探っているのもリアルです。ひょっとしてこれはガチなのかも、思わせる映像ですね。
ただ、投稿者のインタビュー映像にもこの顔が現れてしまった場面は、新たな衝撃と見るべきか、蛇足な演出見るべきかがちょっと微妙です。ほん呪初心者なら、めちゃ怖いでしょうが、長年ほん呪を見ていると作為っぽさも感じてしまうんですよ。投稿映像で終わっていればよかったのに、やり過ぎと感じる人も多いのではないでしょうか。
ただ、投稿者の方に写ったこの顔は、投稿映像よりも顔が崩れている感じがし、さらに出現時に泣くような、叫ぶような、か細いけれど悲痛な声も入っていて、より怖かったので、評価は高めになりました。
続・黒く蠢くもの 前編(怖くない)
概要
前回までの超ざっくりあらすじ
製作委員会に投稿映像を持ち込んだ錦戸百合子さん。そこには真っ黒なドロドロとした何かを顔に被った彼女の姿。懐妊している彼女は心配になって持ち込んだのだが、何故か夫の啓太さんは取材に消極的で、これ以上の調査を断ってくる。にも関わらず、新演出補・上田の勝手な行動が決定打となり、調査は完全に中止となる。だが、お蔵入りとなった過去の映像に同様の現象が記録されていることがわかり、当時の監督、川居尚美を招聘することとなった。
本編
川居によると、投稿者の奥田さんには話が聞けたものの、一緒に写っていた吉野さんのお子さんに不幸があったため、これ以上の取材ができなくなってしまったためであった。今回改めてアポをいれて見ると、1年程経ち、だいぶ気持ちも落ち着いたということで取材することができた。
ここまでの経緯で、新演出補・上田が川居のファンということで握手をするシーン。TwitterらしきSNSの演出補・中田への誹謗ツイートに、川居が「気にすることはない」と声をかけるシーンが挿入される。
奥田さん、吉野さんへの取材、さらに映像が撮影されたバーでの取材を行うも、特に目立った進展も見られなかった。ただ、吉野さんのお子さんの不幸は突然の病死である事が判明する。
感想
取材のみで怖い映像はありません。上田のインタビュー中の中座(ちょっとトイレ)や、微妙に失礼なバーでの質問(どのくらいお客さん来ます?)などの行動が目立ちます。ただ川居さんの目の前だったからか、勝手に撮影したりすることもなく、終始大人しい感じでしたね。
みつけて(怖くない)
概要
投稿者がダンスサークルの合宿のために予約した宿泊施設。遅れて参加する友人のために部屋の様子を撮影したものである。投稿者が同行した友人をベランダで撮影しているシーンで、一瞬、画面にノイズが走った後、何かが上から落下してくる。その場では撮影者も映像に映る友人も気が付いていないようだ。映像に映るその何かをコマ送りして見ると、それは女性の頭部にも見える。そしてカメラがベランダの下に向くと、そこには路上にバラバラに転がる人の手足、胴体などが映し出される。
この辺りでは、女性のバラバラ遺体が発見される、未解決事件があり、体の一部は未だ見つかっていないそうである。
感想
そんなに怖くないです。何かが落下してカメラを横切る(落下だから違うか)映像は何回かありましたし、下になんか落ちているという映像もありました(ほんとにあった!呪いのビデオ43:展望台)。
ただ、落ちていた遺体?がバラバラというのは、ちょっと斬新だと思いましたが。
なんか似たようなタイトルのエピソードがあったなあと思っていたのですが、それは「気づいて」でした(笑)。
シリーズ・監視カメラ 外壁工事(怖くないが)
概要
投稿者の自宅マンションが外壁工事に入った。だが、ベランダに干しておいた高額なスニーカが無くなってしまったため、盗難を疑った投稿者は24時間監視カメラで撮影することにする。すると、どこからともなく女性が現れ、部屋に消えてしまったり、部屋の中には磨りガラスごしに女性の姿が捉えられたりした。この女性は自殺してしまった投稿者の同僚に似ているという。彼女は生前、投稿者のスニーカーをとても羨ましがっていたというが。
感想
ありがちな映像で、怖くはありません。ただ昼間の映像で、カメラの向きを変えるために突然出てくる投稿者の手にびっくりします。
失踪(少し怖い)
概要
投稿者の男性が幼い頃の映像。投稿者の従姉妹の家で撮影されたもので、最近亡くなったその従姉妹の父親の遺品から発見されたものだそうである。
映像に映る従姉妹が部屋の隅に消えた次の瞬間、そこには妙に背が高く、顔が細く歪んだような、なんとも不気味な男性の姿をカメラが捉えていた。従姉妹はこの直後失踪してしまったというのだが。
感想
親戚の従兄弟たちがスーファミのドラクエか何か(世代でないのわかりません)で遊んでいるのを尻目に幼い女の子が部屋の隅に消えていくと、カメラが一瞬フレームアウトして元に戻ると変な男がちょっと前かがみで立っています。
どことなくスレンダーマンっぽいですね。男の異様な姿がちょっと怖いです。
続・黒く蠢くもの 後編(取材のみ怖くない)
概要
調査に進展がない中、川居時代に投稿映像に写っていた吉野さんから連絡が入る。それは吉野さんの子供が亡くなってしまう少し前の出来事であった。関係のない話かもしれないが、という前提で話してくれたそれは、子供が事故現場にお供えしてあったの挿し花を持って来てしまったというもので、吉野さんの奥さんはばちが当たってしまったと、泣きながら嘆いていたというものであった。吉野さんからその事故現場を教えてもらい、取材に向かうことになる。
事故現場と思われる場所には真新しい花が供えられていた。近所の人たちに話を聞いて見るが、その人たちが揃いも揃ってなかなかのキャラの濃い人たちばかりということはさしおいて、2〜3年前に子供の交通事故があったらしいということ以外はこれといった情報が集まらない。だが、ある双子にインタビューしている最中に中田から、花を手向けている男性が偶然見つかったという知らせが入る。
その男性、布川さんの話では、事故にあったのはその男性の息子であり、2年前の事である。取材班は調査の経緯について説明すると、この男性は「ほんとにあった!呪いのビデオ」を観たことがあり、川居についても知っていた。というのも別れた妻と観ていたとの事で、その話の流れから亡くなった子はその妻の連れ子だったことがわかる。離婚の後、引き取ったということであった。実の子では無いにも関わらず、今も花を手向けることを欠かさないという、深い愛情も感じられたが、後にこの布川さんが終始酒臭かったという、中田の発言から、なにやら不穏な雰囲気も垣間見られた。
奥田さんの映像を錦戸さんに見せて見る、という意見が中田から出されるが、何か進展が打開するという根拠もないと却下されてしまう。そんな話をしている中、偶然にも錦戸さんから相談があるという電話が入る。
場面は変わり、例の中田への誹謗ツイートに川居がほん呪スタッフに復帰している事を匂わせる発言があることに気がつく。この時点では川居の復帰はまだ発表されていない時期で内部の者でなければ知り得ない情報のはず。だが、KANEDA監督は一緒に取材している様子を目撃したのだろうと、意に介さない。中田はどうにも納得していない様子であった。
感想
なんというか取材の進展があまりありません。結局、吉野さんの子供が事故現場に供えられたお花を持って来てしまったこと。その事故の当事者の父親が昼間から酒飲んでうっすらと怪しいことくらいですね。そう言えば子供が供えられたお花を持って来てしまった過去の卷のエピソードをレビューしたばかりでした(ほんとにあった!呪いのビデオ68:花束)。
ちょっと不思議なのは、それほど古くない花なのに父親はまた花を手向けに来たのでしょうか。普通四十九日が過ぎた後は、命日くらいにしか手向けないと思うのですけど。毎日花を手向けているというのならせめて花瓶、花立のようなものを用意した方が良いのでは、とは思いました。
上田がさすがに川居さんの前では大人しいな、と思っていましたが、やらかします。
子供が供えられたお花を持って来てしまった件の電話があったシーンで、「(これは)関係なくないっすか」という発言。自分こそ前巻で全然関係ない錦野啓太さんへ付きまとい映像を得意げに披露して「これ面白いっすよね」などと抜かし、中田に胸ぐら掴まれた口からよくそんなセリフがほざけるなという、上田の空気読まない発言に、客員である立場をわきまえた、大人の態度の川居さんにやんわりと嗜められるのですが、さらに「全然意味がわかんないっすね」という、お前は空気を読むと死ぬ病にでも侵されているの?と思われる、それこそ意味わかんない発言が繰り出されるのですが、その後ブチっと映像が切り替わってしまい、川居さんがその後、上田にどんな制裁を加えたのかは神のみぞ知る、という感じになっています(笑)。
その後、中田の発見したツイートの川居さんに対するディスりが酷い。
カワイばか
カワイこの前のピンサロ嬢に似てる
カワイ出戻りウザい
中田のカワイを見る目がキモい
あれ?
やっぱり川居さんに怒られた制裁されたの?
「川居」が変換できなくて「カワイ」になっているお馬鹿さん具合は置いといて、まあ絶対これ上田のツイートですよねw
ちなみにこのツイート、消したのか、架空なのか、検索しても出て来ません。
異なる部屋(少し怖い)
概要
ここで問題の映像が紹介される。
小さなバーで思い思い楽しむ客たち。仲間内だけの楽しい宴といった雰囲気である。遅れて来た仲間が登場して場が湧いたその時、突然画面が切り替わり、白いワンピースを纏った女性と思しき姿が映し出される。画面は上下逆さまになっていたり、機械的で変なノイズが混じっているが、どうやらマンションの一室ようである。白ワンピの女性は、錦野さんの映像と同様、黒く蠢く何かが顔一面を覆っている。また、音声を逆回転させたような音も入っており、グレーのカーディガンを羽織った男性が踊っているようなカットが一瞬挿入されてる場面もあり、全体的に意味不明なものである。突然映像は元のバーの光景に戻るが、壁にかかったアクリル板には先ほどの女性が写り込んでいる。
感想
この「異なる部屋」も前巻の「どろどろ」と同様に、DVDのチャプター上では独立したエピソードとみなされていませんが、一応サブタイトルがついているので分けて記述します。
さて、これは本当に意味のわからない映像で、それなりに不気味ですが怖くはありません。それよりもこの映像の謎が気になって次巻が楽しみになって来ました。
さらに逆回転音声が気になって仕方がありません。残念ながら音声を逆回転できるソフトは持っていないのでこれは未確認です。
感想まとめ
新型コロナ禍の最初の段階のようで(中田が発見したツイートの日付が2020年3月14日)、まだ人通りはありますね。ただし、マスクをしている人が多いですけど。8月の89巻は発売が決まっているので、3月中に取材が完了していたということでしょうか。この後の発売ペースが気になります。90卷以降は間が空いてしまうかもしれません。
さて、今回は次巻への繋ぎみたいになっていて、メインエピソードはあまり進展がなく、ちょっと退屈でしたね。ただし、最後の映像のわけの分からなさが興味をそそらせます。次巻は衝撃のラストみたいなので、楽しみですね。ま、なんか上田が裏で暗躍していそうですが。
一般投稿ではちょっと演出過剰気味ではあるのですけれども「いるはずのない同級生」が格段に怖く、一見の価値があるかと思います。それ以外では「失踪」が少し怖かったかな。
それでは89巻をお楽しみに。8月5日発売です。
コメント