はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ69」のレビューです。「冥婚シリーズ」もついに完結を迎えます。
火葬場(少し怖い)
概要
投稿者の男性は近所の遊び仲間とのドライブの際に立ち寄った廃火葬場。今はもう使われず、廃墟化している施設だが、設備の大半はそのまま残されていた。ご遺体を荼毘に付す火葬炉に行き着き、その扉を開けているところで、突然同行者の携帯電話が鳴る。スピーカーをオンにして聞いていると、近くの墓場で肝試しをする仲間からのものであった。だが、友人の声に混じって女性の細い声が聞こえる。だが友人は車で1人でいるらしく、何も声など聞こえていない様子である。流石に怖気付いた一行がその場を立ち去ろうとした時、火葬炉の中から這い出してくる髪の長い女の姿が写り込んでしまう。気が付いた撮影者の絶叫で映像は終わる。
感想
貞子みたいな女が這い出してきますが、あからさまに作り物っぽく怖くはありません。
この場所はwikipediaに載っていました。「旧御宿町火葬場」だそうで、施設は朽ちつつもまだ残っているようです。ただ、奥に大きな清掃工場があるみたいで秘境感はありません。youtubeには突撃した猛者の動画がいくつか上がっていますが、しっかり管理されているとの話もありますので、訪問はお勧めしません。
消える(少し怖い)
概要
分別されていないゴミの中に奇妙な8mmビデオテープが紛れ込んでいた。それはちゃぶ台を囲む4人家族の映像。テープの劣化のためか、終始激しいノイズが走り、音楽のような、呪文のような声も流れており、画質も著しく悪い。4人は突然高らかに笑い出し、しばらくすると1人ずつ消えていく。1人が消えても、残った人物は笑い続けている。最後の1人が消え、映像が終わる。
この辺りでは大規模な空襲があり、仮埋葬した遺体がまだ埋まったままという話がある。だが、テープを見つけたゴミ集積所付近は区画整理に従わない古い家があり、老夫婦が住んでいたという。その夫婦が亡くなった後に撤去した家の地下から身元不明の4人分の遺体が発見された。だが、遺体の時代は終戦後であり、空襲とは関係なさそうである。
感想
これは心霊映像というよりは、学生か何かが作った映像作品の一部じゃないんですかね。撮ろうと思えば誰でも取れるような感じがするというか、小芝居的というか、部屋も狭くてセットみたいだし。ただ、1人ずつ消えていくのに、残った者は笑い続けているという絵面が、ひどい画質と4人分の遺体の話と相まって、訳のわからない不気味さを醸し出します。
それにしても投稿者はよく8mmビデオテープを再生できる機器を持っていましたね。
禁忌 後編(怖くない)
概要
前回までの超ざっくりあらすじ
部屋での宴の映像に、引き戸から半透明の男が這い出してくる姿が映り込む。部屋の主の女性、八幡さんは部屋のあらゆる隙間を目張りするほど、何者かに怯え、挙げ句の果てに自殺未遂をしてしまう。彼女の交友関係には特に何も問題はなかったが、部屋の前で勝手に婚約者を名乗る男性が目撃されたり、大学の先輩の男性が、処女のモデルを探しているという写真家に、彼女の写真とプロフィールを勝手に送ってしまっていることがわかった。
そんな折、過去の没映像に似たものが発見される。中国で撮影されたその映像に写っていた女性は、ストーカー被害に悩まされていた。その後火事に巻き込まれるという変死を遂げており、その上遺体が盗難にあっていたという。それ以前にストーカー加害者の男性も事故死しており、死因は焼死。中国では冥婚という、死んだもの同士の死後婚礼を行う風習がある。遺体の盗難は、彼女が冥婚の犠牲になってしまったのということなのであろうか。
その後取材班は、八幡さんの写真を受け取った写真家とのコンタクトに成功。写真の使い道は合成して架空の婚礼写真を作り上げることであり、ある人物からの依頼であることがわかる。日本にも一部地域の風習で「ムカサリ絵馬」というものがある。若くして亡くなった未婚の家族の死後の安寧を願う風習であるのだが、その絵馬の相手は架空のものでなければならず、生者との絵馬を作成することはタブーとされている。死者との冥婚をさせられた相手はあの世に連れられてしまうと言われているからである。
本編
取材陣は依頼主の平塚和弘氏宅を、直接訪ねてみることにする。玄関口には年老いた女性が顔を出す。この女性は和弘氏の母親のようであるが、和弘氏への面会を申し込むも、にべもなく断られてしまう。近所の話では、この家は母と息子が暮らしているらしいが、息子の方は見たことがないということであった。さらに家から拝むような声が聞こえることがあるとの証言を得る。
平塚氏への取材を続ける中で、その家の次男の同級生であったという、池内さんから有力な情報を得る。平塚家は母親と長男、次男の3人家族で、池内さんは次男、明生さんと同級生であった。彼とは小学校6年の時に転校して以来、連絡がなくなった。その後、今から3年前に明生さんは交通事故に遭い、亡くなってしまったことを新聞記事で知ったとのことであった。池内さんは明夫さんの兄には会ったことがない。兄は一度も学校に来ることもなかったため、引きこもりではないかとの噂であった。池内さんが平塚家に遊び行った際には、明夫さんは兄は病気で寝ていると、語っていたそうである。取材班は合成写真に使われた男性の写真を池内さんに見てもらうと、明夫さんの面影があるような気がすると証言してくれた。八幡さんとのムカサリ絵馬的な婚礼写真は、明夫さんのために作られ、その依頼主や、八幡さんの婚約者を名乗る男は、兄の和弘さんなのであろうか。
このままでは埒があかないので、菊池は池内さんにスタッフが同行し、かつての同級生が線香をあげに来たというかたちで、平塚宅に侵入するという方針を固める。池内さんは快くその役を引き受けてくれたため、面の割れていない演出補・森澤とともに平塚家へと向かう。年老いた母親はそういうことならと、2人を家に招き入れてくれた。果たして平塚和弘さんには会えるのか、そしてどこかにあるはずの婚礼写真は見つかるのであろうか。
感想
取材のみで怖い映像はありません。平塚家に向かう人選で、「阿草と熊倉は面が割れているのであとは川居さんかなぁ」という菊池の発言に対して「同級生ですよね…川居さんは…ちょっと…」みたいな事を言った時に、川居さんが「ギロッ!」と阿草を睨みつけるシーンがこのエピソードのハイライトです(笑)。
砂浜(ほんのちょっと怖い)
概要
海辺で子供が遊んでいたら、砂浜の誰もいないところにひとりでに足跡がついた。あと、足の間から顔が写った。この浜辺ではサメに襲われて亡くなった子供がいるという。
感想
ちょっとわかりにくく、霊の物理現象を捉えている珍しいシーンの筈なのにインパクトが皆無です。ただ足の間に写った顔は、ほんの少しだけ怖かったですね。
シリーズ・監視カメラ マンション(怖くない)
概要
投稿者の住むマンションの監視カメラ映像。部屋の外から聞こえる足音に投稿者は悩まされていた。このマンションのオーナーである実の父から監視カメラの映像を借り、確認すると半透明の女の姿が写り込んでいた。まず、外廊下の照明が明滅する。非常階段に女が現れ、うっすらと消えて行く。さらに外廊下の突き当たりに同じ女が現れ、壁に消えて行く。
足音が聞こえるようになった頃に、近所に住む投稿者の幼馴染が亡くなったそうである。
感想
なんか初期のほん呪を思わせる古風な感じの映像です。幼馴染の女性は、投稿者を密かに慕っていたのでしょうか。そうかと思うと少し切ないですね。ただ怖くはないです。
雛人形(怖い)
概要
投稿者は、恋人と先輩夫婦とでドライブに出かけ、とある森林公園を訪れる。先輩夫婦は別行動をとり、園内に防空壕のような洞窟を見つけて、探検した際の映像である。
意外と大規模な洞窟で、入り組んだ内部の突き当たりに、なぜか古びたひな壇と雛人形が鎮座している場所に行き着く。人形は埃をかぶり、相当長い年月ここにあったと思われる。そして、最上段のお内裏様とお雛様はなぜか両方とも首がなかった。
なぜこんなところに雛人形があるのか訳が分からず、不気味な様相を呈している。そして懐中電灯に照らされたひな壇の脇から不気味な女が覗き込んでいた。
先輩夫婦の奥さんは妊娠中だったが、のちに死産してしまったそうである。
スタッフが後日この洞窟を訪れるが、映像に映っていたひな壇は忽然と姿を消していた。だが、その付近には確かに何かが置いてあった跡だけがはっきりと残っていた。
感想
雰囲気が抜群に良く、好きなエピソードです。埃だらけのひな壇と人形が何故こんなところに置いてあるのか、意味不明で怖いです。ひな壇の影から覗く女の顔も、大きく目を見開いていて、なかなかの怖さです。
ネットで調べたところ、ここは神奈川県三浦市の三戸海岸にある「洞窟陣地」と呼ばれるところで、森林公園どころかまさかの海沿いにあります。大戦末期の本土決戦の準備として作られたようです。youtubeや個人ブログにいくつも紹介されていますが、一応立ち入り禁止みたいなので、かなり危険かと思われますので、侵入はしないほうが良いでしょう。ただ、記事や映像を見てもひな壇の置いてあった場所がよくわからず残念です。
それにしても、フェイクなのだとしたらこんな場所にひな壇をわざわざ持って来たことになるし、雛人形の風化具合も実にリアルです。いくら何でもそこまでするか?という感じで謎が深まります。
指輪(怖い)
概要
女子大生である投稿者とその友人が、とある緑地に遊び出かけた際の映像。だが、友人は緑地内で大事な指輪を無くしてしまう。その辺に落としてしまったのかと、歩道の側溝にスマホを向ける。撮影者は気が付いていないが、側溝の隙間から人間らしき片目がぎょろりとスマホのレンズを睨みつけていた。狭い側溝に人間など入れるはずも無いはずなのだが。さらに投稿者たちはスマホを紐で吊り下げ、側溝内に垂らして中を伺い、指輪が落ちていないかを探る。スマホカメラが左右を見渡すと、そこに男の顔があった。
感想
隙間から片目が睨みつけるのが意外と怖いです。垂らされたスマホの映像も、絶対何か出てくるだろうと、ドキドキしますね。で、案の定出て来ます。冷静に見るとそれほど怖く無いかもしれませんが、狭い側溝の中というシチュエーションが恐怖度を増加させています。ペニーワイズ思い出しますね。
場所はどう見ても生田緑地。園内に静態保存されている旧型客車(スハ42 2047)でバレバレです。園内ではこの他にD51も保存されてますよ。
続・禁忌 後編(少し怖い)
概要
平塚家を訪れる池内さんと演出補・森澤。玄関先で池内さんが事情を話すと、平塚家の年老いた母親の女性は無愛想ながらも、中に招き入れ、お茶とお茶受けまで振舞ってくれた。仏壇には若い男性の写真が飾られており、写真家から入手した男性の顔とは明らかに異なっていた。さりげなく兄の和弘さんの所在を確認するが、上の部屋にいると答えるだけの母親。池内さんが明夫さんの卒業アルバムを見ながら思い出話で間をつなぐ間に、森澤はトイレを借りるふりをしながら大胆にも2階へ侵入する。
いくつもの部屋で仕切られている2階は照明が落ち、人の気配がない。子供部屋らしき部屋に侵入すると暗がりの中、椅子に座った人影を見つけてしまう。森澤は声をかけるが返答はなく、近づいてみるとそれは手作りの等身大人形であった。森澤は小さく驚きの声を上げる。部屋を見渡しと、袖を通したこともなさそうな学生服が鴨居にかかっており、例の婚礼写真が飾られているのを発見する。そこには八幡さんの名前と、和弘氏の名前が記されているのが確認できた。
すると突然森澤のスマホにLINEの着信音、そこには池内さんからの「うえいた」のメッセージが送信されてきた。森澤は廊下に出ると、母親が立ちすくみ睨んでいる。狼狽した森澤が言い訳をしている間にじりじりとにじり寄ってくる母親。そして「ぁずひろ…いない」(和弘いない)と呟くと、突然狂ったように笑い出す。いつまでも笑い続ける彼女に恐怖した森澤は心配して2階に上がって来た池内さんとともに、平塚家を慌てて逃げ出してしまった。
遺影に飾られている写真は弟、明夫さんであるようだ。するとムカサリ絵馬の男性はその兄、和弘さんであり、彼は既に亡くなっているというのだろうか。
取材班は平塚家の調査を進め、母親(幾子さん)の従姉妹にあたる高野さんに話を聞くことができた。彼女によると、幾子さんは和弘さんが5歳くらいの頃に離婚、苦労して2人の子供育てていたが、長男の和弘さんが小学校4年くらいで病死、3年ほど前に次男の明夫さんが夫婦ともに交通事故で死亡していたことがわかった。
その後幾子さんは、和弘さんの中学入学の年に制服を用意したり、教科書を購入したり、大学生の頃になると願書を取り寄せたりと、まるで和弘さんが生きているような振る舞いをしており、彼の誕生日になると、まるで成長したような合成写真まで、業者に作らせていたそうである。例の手作りの等身大人形の件も、高野さんは知っていた。その人形も成長しているかのごとく、年ごとにアップデートを重ねていたそうだ。そして明夫さんが亡くなってからは精神的にさらにおかしくなり、死んだはずの和弘さんが夜になると姿を現しドアの隙間からじっと見ていると、親戚に語っていたという話も聞けた。その亡霊は怒っていて、恨み言を呟いており、なんとかしなければならないと、繰り返し語っていたという。
その後取材班は再び平塚家を訪れる。家からは母親が唱えている念仏のような声が聞こえるも、その戸は硬く閉じられたままであった。
製作委員会は最初の投稿者戸塚さんに取材報告を行う。その際の電話で八幡さんが意識を取り戻し、病状が回復しているとの知らせに安堵する取材陣であった。だが、例のムカサリ絵馬は平塚家に未だ存在するため、予断は許されないとの思いであった。
ここで森澤が隠しカメラで撮影した平塚家の映像が再度紹介される。ここには、部屋に幾子さんが入って来たときにあの人形の首が不自然に動いたこと、さらに森澤たちが逃げ出す際にガラス戸に人の姿が写り込んでいるというものであった。
スタッフロールの後、病状が回復していたはずの八幡さんが亡くなったとのテロップが表示される。死因は不明である。
感想
些細なツッコミどころ(母子家庭で苦労した割にはでかい家、幾子さん老けすぎ、池内さん演技上手すぎ「うわ〜卒業アルバム懐かしぃ〜い」、森澤の盗撮の割にはツボを押さえすぎた撮影映像など)はあるのですが、全体的になかなかよくできていたなと思います。
暗がりで発見する異様な人形は異様で気持ち悪くて怖かったし、幾子さんの「かずひろ…いない」のセリフは森澤に人形を見つけられてしまい、実は息子はこの世にいないことを再認識させられてしまった絶望の言葉だったことがわかります。そのあと「僕はここにいるよ」と言わんばかりに人形の首が動く演出も良いです。むしろガラス戸に映る顔はどうでもよくなりますね。
それにしても最大の戦犯は勝手に八幡さんの写真とプロフィールを送った大学時代の先輩ですね(だれだっけ)。
とにかく八幡さんが気の毒でなりません。まっ、フェイクなんでしょうけど。
感想まとめ
メインエピソードがよくできていて大変楽しめました。「うわっ」っとのけぞるような怖さはありませんが、ストーリーや雰囲気がじわじわした怖さが感じさせます。
一般投稿も、「雛人形」、「指輪」が秀逸でした。
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