はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ89」のレビューです。今回も新作案内の強制再生がありませんでした。そして今回はいろいろと問題作と言っていいかもしれません。
とは言っても、初っ端にちょっと怖い映像がありますのでご注意を。
繰り返される死(かなり怖い)
概要
ドライブレコーダーの映像。中規模施設の駐車場から、車が出庫するところから映像は始まる。途中ダラダラと郊外の街中を走る投稿者の車。数分ほど経った後、突然車の前に何かが上から落ちてくる。それは逆さに落ちる人間、髪の長い女性のようにも見える。投稿者は驚いて車を降り、前方を調べるが何もなかった。
実はここまでくる道中に、高い建物から人が落ちる様子が3回も記録されていた。最後、車の間近に落ちてくる人影は4回目の落下だったのである。
感想
街中をダラダラ走る映像が続きます。「いつまで続くんだ?」、「最初の方の映像、絶対いらないよね」とか思っていて緊張感が無くなって来た頃に、「ビュン!」と間近に落ちてくるので、かなりびっくりします。顔の表情も結構怖い。
実は映像の前半でも人が落ちていた、というのもなかなか憎い演出(?)ですね。幽霊からしてみれば、「なんども落ちる姿を見せているのに気付かない!」、「ならこれならどうだ!!」って感じかもしれません。完全に油断していましたよ。
ちなみにカーナビの表示から、それぞれの人が落ちた時刻を記すと、
- 14時10分38秒 右手高い建物から
- 14時13分23秒 左手ドンキホーテ手前
- 14時17分42秒 正面のでかい倉庫
- 14時19分08秒 車の目の前
場所は埼玉県新座市近辺ですね。ご丁寧にカーナビに座標が表示されているので、多少ずれていましたが場所の特定は簡単でした。道中もノーカットのようで、車が走ったルートも判明してしまいました。ルートを記した地図も作ってみたのですが、野暮なので公開するのはやめておきます。
スナック(怖くない)
概要
スナックで飲んでいたら変な女が映った。糖質制限を受けていたのに焼きそばなんか食ってたから、奥さんの生き霊が現れたのか。それとも全然関係のない幽霊なのか。
感想
ちょろっとしか写ってません。怖くないです。前のエピソードがとても怖かったので、ズッコケるほどです。それにしても奥さんの生き霊とかいう解釈には笑います。
ちなみにこのスナックのママはポメラニアン2匹飼っているそうですよ(笑)。犬の名前はナレーションに被ってしまい、わかりません。
終・黒く蠢くもの 前編(怖くない)
概要
前回までの超々ざっくりあらすじ
製作委員会に投稿映像を持ち込んだ錦戸百合子さん。そこには真っ黒なドロドロとした何かを顔に被った彼女の姿が写っていた。だが、何故か夫の啓太さんは取材に消極的で、これ以上の調査を断ってきてしまい、調査は完全に中止となる。しかし、お蔵入りとなった過去の映像に同様の現象が記録されていることがわかり、当時の監督、川居尚美を招聘することとなった。
前回の映像では、一緒に写っていた吉野さんの息子さんに不幸があったため、取材中止となっていたが、時間が経ち落ち着いて来たと言うことで、投稿者奥田さんと子供を亡くした吉野さんに改めて話が聞ける。交通事故の現場に供えられていた挿し花を持って来てしまった事が、不幸のきっかけではないかと、吉野さんの妻が嘆いていた話が聞ける。たまたまその事故現場に献花していた人物、布川さんと言う人物に話を聞き、事故で亡くなった子供は、彼の息子であった事がわかる。だが、その子は出て行ってしまった妻の連れ子であり、布川さんの実の子供ではなかった。
ちなみに全編にわたり、新演出補・上田の勝手な行動が目立つ。
本編
上田に追いかけられて怒り心頭な錦戸啓太さんに拒否され、取材は中断してしまったが、妻の百合子さんは夫の様子がおかしい、何か思い当たる事があるのでは、調査を続けて欲しいと製作委員会を訪ねて来た。そこで、啓太さんには内緒で調査を継続することとなった。このやり取りの際に百合子さんに川居時代の投稿された映像の当事者、吉野さん、布川さんのことを尋ねるが、彼女には心当たりはなかった。
アジア魍魎研究所日本支部関東局長村井氏と、あいかわらず何にも喋らない日野氏両名に、このご時世からリモートで話を聞くが、何を言っているのかよくわからない。要するに、「あまり良い印象を感じない」、「姑獲鳥(うぶめ)」、「鬼子母神」という、懐妊している百合子さんに関連のありそうなキーワードが飛び出す。「奥田さんの映像に何かの映像が差し込まれたのはたまたまじゃね?」とか、「それと黒い何かが顔を覆っている怪現象は分けて考えるべき」とか、「魑魅魍魎は時間と空間を超越しているので人間が知覚する存在なんて概念に過ぎず、あやふやなもんだよ」、みたいなことを語る(超意訳)。
そんな折、中田が発見していた疑惑のTwitterアカウントに新たな投稿が上げられた。それは「本当のほんとにあった呪いのビデオ!!」と称し、前回、前々回の取材を盗撮した映像がYoutubeに勝手に公開されていた。投稿主はなんと連絡のつかなくなった上田で、厚顔無恥にも「製作委員会に潜入!」、「チャンネル登録よろしく!」などと述べている。製作委員会は即刻動画の削除を依頼、Twitterで誹謗中傷していたアカウントが上田であることが確定した。
そのような中、布川さんから連絡が入る。それは、妻の消息について嘘をついていたと言う告白で、出て行ってしまったのではなく、もう既に彼女は亡くなっていると言う話であった。そして、製作委員会に見せたいものがあると言う。さっそく呼んで話を聞くと、見せたいものとは、妻と別の男性が仲良く一緒に写っている写真であった。その男性はなんと錦戸啓太さんだったのである。
感想
「チャンネル登録よろしく!」じゃねえよ(笑)。
それはともかくとして、布川さんの妻の前夫(愛人?)が錦戸啓太さんだったと言うのは都合よく繋がり過ぎと感じました。
凍氷(怖くない)
概要
真冬で凍った湖の氷の下に女がいた。
感想
ちょっと見つけにくく、最初気がつきませんでした。良い感じに氷の下にいて、なんか女性アーティストのCDジャケット写真みたいです。
新婚旅行(怖くない)
概要
タイに旅行に行ったら、泊まったホテルのエレベーターに顔を火傷したような少女が横たわっていた。
感想
とても地味。何もあんな位置に横たわらなくとも。
棲みつくもの(少し怖い)
概要
投稿者は山下さん。友人の高階さんを借りたばかりの家に遊びに呼んだところ、人影を見たとか言ってすぐに帰ってしまった。その次の日くらいから、置物が落ちていたり、床に髪が落ちていたり、挙げ句の果てには天井から蛇が這っているような怪音がするようになった。
山下さんは天井裏を調べることにする。スマホで撮影しながら天井の点検孔を開け中を伺うが、一見何もない。だが気配を感じた方にカメラを向けると、髪の長い女が俯いている。そして、顔を上げ、こちらを見るとニヤッと笑っていた。驚いた彼は天井から転げ落ちてしまうが、幸い怪我はなかった。
友人の高階さんによると、家を訪れた際階段の先の暗がりに、逆さになった女がこちらを見て笑っているのを見てしまったそうだ。山下さんは一人暮らしだが、なぜか一戸建てを望み、この家を見つけることができた。家賃は一戸建てにしてはとても安かったと言うのだが。
感想
シチュエーションとしてはとても怖く、初見では正視できなかったほどです。ですが、実際に写り込んだ女はなんだか普通。禍々しさがなく、こちらに笑いかけてくるのは不気味ですが、ただの一般女性がそこにいるかのように見えて、そんなに怖くないです。
それにしても、一人暮らしで一戸建て志向とは珍しい。それが投稿者の元々の好みなのか、それとも霊に呼ばれたのか。どっちなのでしょう。
終・黒く蠢くもの 後編(ムカつく)
概要
写真に写っていたのは、布川さんの妻、麻美さん。そして一緒に仲睦まじい様子で写っている男性は、麻美さんの前夫(愛人?不倫関係?)で、亡くなった聡くんの実の父親、錦戸啓太さんであった。布川さんが興信所に依頼して撮影されたもので、この写真を麻美さんに見せると、彼女は家を出て行ってしまったそうである。その後、錦戸啓太さんに別れを切り出されて、それを苦に自殺してしまったらしい。
取材班は、奥田さんの映像を布川さんに見せる。するとそこにインサートされている女性は、背格好から、麻美さんのようにも見えると語ってくれた。だが、写り込んだマンションの部屋には全く心当たりはないとのことであった。
その後、錦戸さん宅の前で女性が立っているのを見たと証言してくれた、三島さんに麻美さんの写真を見せようと連絡を取る。この女性は上田が得意げに連れてきた人物だが、中田が電話すると、上田に雇われて嘘の証言をしたと告白する。それを川居に報告している間に錦戸さんからも電話が入る。上田が謝罪したいと錦戸さん宅に上がり込んだ隙に、室内を勝手に撮影していたと言うものである。立腹している啓太さんに平謝りの中田だが、それに便乗して布川さんと麻美さんの件を投げかけてみる。
場面は変わり、上田を呼び出した製作委員会。川居の度重なる叱責に対しても、当の本人はヘラヘラとして話にならない。挙げ句の果てには「辞めます」とだけ告げて部屋を去ろうとし、止めようとするスタッフに逆ギレする始末であった。
その後、態度が豹変した啓太さんに話を聞ける。彼はキャバクラで知り合った麻子さんと交際していたこと、聡くんの父親であることは認めた。だが、聡くんが亡くなってしまったことは知らなかったようである。そして、彼に奥田さんの映像を見てもらう。啓太さんが発した言葉は「この映像はいつ送られてきたものですか?」であった。1年ほど前であることを伝えると、彼は怯えたように絶句するだけであった。
感想
上田にムカつきすぎてストーリーなどどうでもよくなってしまいますね。不快感がいっぱいです。エンターテインメントとしてはどうなんでしょうか。少なくとも私にとっては、皮肉にも上田の言う、「つまらないもの」に該当してしまいます。ここで、突然岩澤と児玉が登場、昔取った杵柄のパワハラ節で上田をけちょんけちょんに論破する…なんて展開だったら少しは溜飲が下がるのですが(それはそれでちょっと問題ですね)。
それにしても上田の態度むかつくわぁ。「面白ければいいんじゃないんすか」、「バレなければいいじゃないですか」と言う考えは別いいんだよ。でも「ほん呪」の看板背負ってやるんじゃねえよ。「てめえ1人でやれや!『ケンケンチャンネル』とかでよ!」と言いたくなりますね。
でも、じゃあほん呪に今まで1回も「ヤラセ」はないの?と問えば、「んなわけねーよ」、となるわけで、このようなところに切り込んだ今回の特集は異色で、問題作ではないかと思います。ですが、怪談の作法として、ネタバラシはしないと言う暗黙のルールをきちんと守っている。例えば川居さんが、「そりゃ今まで何回かヤラセはしたけどさあ」などど絶対言わないあたりは、唯一評価できるところではあります。
白い服
概要
数日後、啓太さんからSDカードに入った映像が送られてくる。勝手に撮影した上田から取り上げたものだと言う。そこに記録されていたものは、奥田さんの映像に入り込んでいた、あの映像そのものであった。そこには黒く蠢くものが顔を覆った、麻子さんらしき人影も確認できた。
製作委員会は後日上田と和解し、映像の使用許可を得た。
なぜ1年も前に投稿された映像に上田が盗撮した映像が紛れ込んでいたのであろうか。麻子さんの深い恨みが時空を超えて結集したとでも言うのだろうか。
今は百合子さんと啓太さんの子供が無事生まれてくるのを祈るばかりである。
感想
魍魎研究所の言ったことと合致しましたね。伏線わかり易すすぎます。奥田さんの映像で、踊るような仕草に見えたのは、啓太さんが上田の盗撮に気が付いた時だったんですね。一瞬を切り取ったのものなので踊っているように見えただけでした。また、同時に映像に入っていた、「逆回転音声」については何も触れられていませんでした。おそらく啓太さんの「何やっているんだお前!」とか言う音声だったのでしょう。
それにしてもこの映像使いたいからって、上田に使用許可もらうため、和解したとか。思わず「和解したんかーい」と叫んでしまいました(笑)。というか、盗撮した映像って撮影者に権利あるんでしょうかね。取り上げた時点で所有者は啓太さんにならないの?
感想まとめ
と言うわけで、ムカついてメインエピソードはお話になりませんでした。でも私をこんなにむかつかせた上田はかなりの名優だった言うことになりますね。一般投稿も失速気味でしたが、唯一「繰り返される死」が怖かったです。
ほん呪は100卷まではリリースしてもらいたいと思っているのですが、こんな調子でいけるのかどうか、少し心配になってきました。
コメント
「黒く蠢くもの」
CSで観ているので前回と間があいてしまい記憶がぼんやりとしたまま流し見していました。布川さんが写真を持ち込んできた時に、布川さんって誰だっけ?状態に。(イマココ、一時停止しています)
ここまで詳しく書いてあると、一読して流れが全て理解でき、本当に助かりました。
それにしても、上田役の役者さん?酷い役柄を割り当てられましたね。もし、リアルで会って全然あんな感じではなくても嫌いになりそうですw
くまさんこんにちは。コメントありがとうございます。
上田は本当に名演技でしたね(笑)。
>ここまで詳しく書いてあると、一読して流れが全て理解でき、本当に助かりました。
ありがとうございます。でも時々人名を間違えることがあるのでその時はコメントで指摘してください(笑)。
87のレビューで途中から「錦戸」さんを「榎田」さんにしてしまったことがあります(87のコメント欄参照)。
俺直感鋭いからすぐわかんだけど
ほん呪って時代を風刺しているフシがあってよ
だから、スタッフが真面目なキャラで固められてて、そんでその中に上田というとんでもないミサイルをぶち込んで、腐った固い空気をぶち壊したんではと 本当にこの縦社会のままでいいのか? 人間よ!
逆に考えると これは社会を風刺してんだと思ったんだよ
まさに今の風の時代を表しているような革命の時期
古い価値観を淘汰し新しい価値観というか、取られたもの取り返してるだけなんだけどね
礼儀とか、なれ合いとか、空気読めとか、そういったのも所詮全部マスによる刷り込みなんだよね
俺は礼儀はいらねえと思ってんだけど なんでかっていうと 偽善的で気持ち悪いから また上と下との関係みたいな支配的な雰囲気があっから 俺は自由が好きなんでえ 口悪くて何が悪いんじゃ
だいたい礼儀だの空気ゆってるのは嘘つきが多く 心が狭くけちな輩が多い マジで で楽観的な人は性格良かったりするわけよ 心が強いわけですな 小さなことを気にしない心っていうか 強さ
神経質な人間はけちで性格悪い 表面は善人ぶって裏がひどい はっきりいって ずっと人間観察してきたけど それはマジで当たってる
だから洞察力が重要になってくるわけよ 礼儀とか社交辞令とかオベッカとかいらねんだよ そういう意味でも上田の存在は重要だと考えたんだよ
彼のような人でも心穏やかにして受け入れましょうっていうことよ これが日月神事のゆってたことの一文
視野が狭い人は精神年齢が低くて愚かなんだが、価値観を押し付けるなコノヤローと、そこに気づけよと まるで関みたいな感じなんですがw
マジにそれは思う
最近マスクしろとかワクチン打てとか、同調圧力ひどいけどさ、あれ醜いなと、自由じゃんそんなもん
だから上田君って重要なんですわ むしろ真面目でマニュアル人間のスタッフらの方が間違ってたんだよ
あと、結構前からだけど、ほん呪の長編になるストーリーは 70からずっとそうだけど、いずれもメンヘラなど束縛的な人間が元凶であるといった隠れた意図が見えるんですがね
これはいわゆる、メンヘラチックな人間が社会の闇になっているという表れでもあり
オレの体験上 その通りだなと 、俺は心理学勉強してるから手に取るようにわかる
ittonさんも心理学や性格診断などを一度やってみたらどうかと おもしろい はまりますよ
宇宙とは 人間とは 節理とは いろいろ考えさせられる哲学的な
ある意味こういった心霊現象なども超自然現象であって そういう目に見えないものを探求する学術でもあると俺は思ってます
大変長文で申し訳ございません、ですがこういった心理学や洞察力ていうのは人生においてすごい役に立つものですのでその重要性を語った迄であります
???????さんこんばんは。
なる程、考えされられる意見ですね。
実は1年以上経過してちょっと上田君に対してちょっと怒り過ぎたかなかぁとすら思っていました。他の方のレビュー見てもこんだけ怒ってるの俺だけだもんね。心が狭いなと思い、少し反省しています。
そして結局スタッフは彼の映像を採用しているのですね。これは大人だなあと思うのみならず、僕を含めて悪感情を抱いた視聴者やスタッフに対するちょっとしたアンチテーゼというか、皮肉になっているかもしれません。
こういう点を踏まえ、もうちょっと俯瞰した、別の見方ができるかとも思いました。
うーん・・・
私もユーネクストで偶然このシリーズの配信を見つけて、昔見た記憶のあるあたりから通して観ていた系の者だったのですが、この巻はさすがに評価する気にもなれません、監督さんの正気を疑うような題材でした。随所に出てきて長々と尺を持っていくなんちゃら研究所の方々が余計に茶番感を演出してしまってるのも実はけっこうストレスです。次回からどうやら監督さんが交代されてるようなので(wiki調べ)これからに期待。
今作以外の話も混じるので余談、とかくお顔いじり(消し)のお好きな監督さんでしたね、でもとりあえず監督やるならせめて映像チェックはきっちりやろうよ・・・
アジア魍魎研究所はもう勘弁してもらいたいです。
尺も余計に使うし。
>とりあえず監督やるならせめて映像チェックはきっちりやろうよ・・・
あれですね。