はじめに
「闇動画24」のレビューです。発売は2020年3月。もう今から3年程前になりました(やっとここまで来たか)。と言うわけで、以下のレビューは多くのネタバレがありますので、ご注意願います。
パチンコ店(少し怖い)
概要
女性週刊誌のオカルト記事のために、廃業したパチンコ店の廃墟を訪れるカメラマンの男性、編集者の女性、そしてライターの女性の3人組。ここでは様々な店舗が開業してきたが、いずれも長続きしていない。このパチンコ店では男子トイレの特定の個室で自殺が相次ぎ、幽霊が出るとの噂がある。
ビデオカメラを持つライターの女性は、店の奥を横切る男性の姿を見てしまい映像にも記録されていたが、見間違いとでも思ったのか、これ以上言及することもなかった。店内はそれなりに不気味な様相を呈していたものの、噂のトイレも特に変わったこともない。
店内を散策する傍ら、カメラマンと編集者の結婚を羨ましがるような世間話をするライターだが、編集者がその場を離れて2人きりになった際の会話から、カメラマンはライターとも不倫関係にあることが判る。
直後、編集者に呼ばれカメラマンは車に戻ってしまうが、2人はいつまでたっても帰ってこない。しびれを切らした彼女は車に戻るのだが、車内には誰もいなかった。振り返り建物の方に向き変えると、ベランダにカメラマンが立っている。だが様子がおかしく、ボーっと突っ立った彼はこちらに手招きをしているようだ。
仕方なく建物に戻ると、今度は編集者が駆け寄ってくる。なんでも編集部からの電話で、突撃レポみたいな映像を撮りたいからレポーター風に撮影してくれとのこと。ベランダにいた筈のカメラマンは、体調を崩してコンビニに向かって今はいないとは編集者の弁。彼が気になった彼女だが、取り敢えずその要請に従い、あのトイレに入って個室を開けると…。
感想(ネタバレ)
ここからネタバレです。
扉を開けると中でカメラマンが首を吊っています。ライターとカメラマンの不倫は編集者にばれていました。実は編集者の実家は金持ちで、このパチンコ店跡は彼女が丸々買い取っており、不倫に対する恨みからの綿密に計画された復讐劇でした。
彼女は殺したカメラマンがいる個室にライターを閉じ込め、火を放って自分も死ぬと吐き捨てます。その時に個室の上からは無数の恨めし気な男の首がカメラを見つめており、映像は終わります。
男女の愛憎が入り混じった復讐劇は、実はこのトイレで自殺した男たちの怨念に感化された結果だとでも…言うのでしょうか…。
結構面白かったですね。ただ、カメラマンの男性をどのように殺してトイレの個室に吊ったのか(女手一人じゃ無理でしょ)とか、トイレの個室を外側からどうやって施錠したのか、とかのツッコミどころはありますけど。
パチンコ店の廃墟は台自体は取り外されてがらんとしており、きちんと管理されている感じで荒らされてもおらず、最初はそんなに怖い雰囲気ではありません。でも日没直前に入り込んだので、だんだん外が暗くなってくる様子とか、ベランダみたいなところに出たときにいつの間にか外が土砂降りだったとかのシチュエーションの変化が、空虚で寂しい感じがしてよかったです。
男女の愛憎劇で終わるかと思いきや、最後に心霊的な要素をぶち込むのも面白い。
ただ、冒頭で店の奥に幽霊(多分)が横切るシーンは蛇足というか、インパクトがなく全然怖くなかったです。
廃墟ドッキリ(少し怖い)
概要
廃墟で後から来る友人にドッキリを仕掛けようと企んだカップルだったが、逆にそれを読んだ友人に逆ドッキリをされてしまった。
しかも2回…。その2回目で…。
感想(ネタバレ)
結構尺を使ったエピソードですが、概要の通りです(笑)。
最初の逆ドッキリは「わ!」と脅かすだけだったのですが、2回目の逆ドッキリはトイレの鏡に自らの真の姿を映し出すことでした。鏡に映った友人は血だらけで、なんかぐっちゃぐちゃなんですよね(笑)。そうです、彼は幽霊になって逆ドッキリしに現れたのです。
鏡に映る友人を見て、びっくりした撮影者はたじろぐと、連れションしていたはずのその友人はトイレのどこにもいません。そして彼女さんから、彼が交通事故で病院に運び込まれたという知らせを携帯で受け取るのです。
事故で頭が挫滅して亡くなったのも関わらず、逆ドッキリ仕掛けに来るこの友人は死しても尚、茶目っ気あふれていると思いました。最初の逆ドッキリ「わ!」のシーンの彼はめちゃめちゃ自然で、とても幽霊とは思えないの事とのギャップが、後から少し怖く感じるかもしれません。
それにしても彼、トイレットペーパーとキッチンペーパーを間違って買うバカという話が、撮影者から聞けますが、「その気持ちわかる~」とか思ってしまいました(笑)。
別荘(少し怖い)
概要
女子大生、アイコは友人のミサキと叔母の所有していた海沿いの別荘を訪れる。叔母は高名な占い師だったらしいのだが、早くに祖父に縁を切られていたため、会ったこともなかった。だが、叔母の資産の別荘があったことが分かり、そこに訪れてみたいと思っていたそうだ。語り部の映像提供者から、彼女の叔母は占い師ではなく、実は霊能力者であったことが語られるが、アイコは知らない。
オーシャンビューの素敵な別荘にはしゃぐ彼女らではあったが、ミサキは浜辺でこちらを見つめる黒い人影を見つけてしまう。だがそれはすぐに消えてしまった。
きれいな別荘であったが、夜になると彼女らはすぐに暇を持て余す。そして奇妙な絵が玄関やリビングにあることにミサキは気が付いた。アイコは泊った部屋の絵の裏にお札が貼ってあったという怖い話をネットで見たこと思い出し、よせばいいのにその絵の裏を見て、裏に髪の毛らしきものが入った奇妙な絵柄の封筒が貼り付けてあることを発見してしまう。
その後異音が響いたり、黒い人影をミサキが目撃してしまったり、閉めたはずの窓が開いていたりと怪現象が続く。恐怖に慄くミサキの携帯に霊感のあるカヨから、「この家はやばい」という電話が突然かかってくる。髪の毛を燃やしたり、玄関や窓を開けて水をまいたり、と対処法の儀式を伝えるカヨの指示に従う彼女らであったが…。
感想(ネタバレ)
ここからネタバレです。
ミサキにかかってきた電話はこの部屋に棲む悪霊の嘘電であったのです。本物のカヨからツテをたどってアイコに電話にかかってきます。するとミサキにかかってきていた偽カヨの電話口からは、してやったりと言いたげな、高らかな笑い声が聞こえます。そう、彼女らは偽カヨのアドバイスでこの別荘の封印を解いてしまったのです。
あわてて玄関を閉めに戻るアイコですが、時すでに遅く、彼女は血を吐いて倒れてしまい、玄関から黒い影が入ってきます。一言、「ただいま」と言いながら。
その別荘はアイコの叔母が、依頼を受けて除霊を試みたものの失敗した物件で、せめて被害がこれ以上ないように、と施したものがあの絵の髪の毛だったようです。映像提供者の男性は、その家は人を呪い殺すためだけに作られたものであるらしい、さらに半笑いで、彼女らが命を落としたことを語り、エピソードは終わります。
これもなかなか面白かったですね。
特に偽カヨの電話口の笑い声、そして「ただいま」と言いながら入ってくる黒い影が怖かった。ラップ音やその他の心霊現象もタイミングよく恐怖を引き立てることに成功しています。映像では詳しくわかりませんが、ちょっと辺鄙なところにあるのかも、と感じさせるのも良かったです。
映像提供者が半笑いで語るのも、ちょっと嫌ですね(良い意味で)。
ただ、別荘ということで部屋に生活感がなく、広い家に二人だけという、何となく寂しい感じの状況での怪現象という対比を表現したかったのでしょうが、この家が素敵すぎる上にハンモックまであったりして設備も今風で、それが薄れてしまっている感じがしました。「ああ、ハウススタジオか貸別荘だな」とか思ってしまうのです。
因みに別荘にかかっていた絵ですが、なんとなく「『Windows』の壁紙にありそうだな」とか思ってしまいました(笑)。
感想まとめ
毎度言ってますが、今回も面白かったのです。面白かったんだけど、ちょっと地味でパワーダウンかもしれません。ストーリーで見せるような感じで、ショッキングなシーンがあまりなく、初期の「闇動画」とは全く変わってしまったな、と今更ながらに思いました。
固唾をのんで映像を見守る、とか、怖いかもしれないからちょっと視線を外して観る、とかめっちゃ怖そうなんで薄目を開けて観る、とかがなくなってしまい、ビール片手に寝転んで気楽に見ると意外と面白くちょっと怖い、みたいな感じになってしまいました。
これはこれで良いとは思うんですけどね。
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本ページの情報は2022年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
コメント
レビューお疲れ様でした
もうこれすら3年前なんですね
XXXと違ってこちらは見返すことをしてないので最新(最終?)のこれすらレビュー拝見してもどんな内容だったか思い出せないくらい時間が経ってしまいました
私としてはXXXの次にこの作品を推していたのですがスピンオフの心霊闇動画はまだ出てるのにこれは打ち切られてしまったようなので非常に残念な気持ちです
XXXは不気味と思うことはあっても考察に頭が行ってしまったり慣れすぎたせいか怖いと思うことがほぼなく(ほん呪とかもこんな感じですね)闇動画はそこそこ恐怖を煽ってくれることがあったので純粋にホラーを享受できる貴重な作品だったんですがねえ
またひょっこり復活してもらいたいですね
ハコさんこんばんは。
もう3年出ていないんですね。
コロナ渦ということでリソースを割けなかったのかもしれません。
コロナが収束すれば復活するかもなんて思っています。