はじめに
「呪いの黙示録 第八章」のレビューです。江益、真田のコンビは板についてきた感じですね。今回のテーマは映像に写り込んだ、この世ならざる者からのメッセージと言ったところでしょうか。
いつもそうなんですが、以下ネタバレ三昧なので、未見の方はこれ読む前にちゃんと本編見た方が良いです。今回は特に。
超ドッキリな映像はありませんので、怖がりの方も安心して本編をご覧ください(ちょっとだけあります)。
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現下此処にいる ~メッセイジ壹~(怖くない)
概要
1992年の古い家庭用ビデオ映像。小学校のお遊戯会で左端の子が半透明に透けてしまう。この子は後に交通事故に遭い、大きな怪我を負ってしまったという。このように体が透けてしまったり、一部が消えて写る現象は、守護霊や先祖からのメッセージであると言われているが…。
感想
サブタイトルの「壹」は「壱」の旧字体です。環境によっては文字化けするかもしれません。以降のサブタイトルも全てこんな旧漢字でレトロ感、時が経った感を演出しています。
それにしても、お遊戯のぐだぐだ感が酷い。
現下此処にいる ~メッセイジ貳~(少し怖い)
概要
1990年代初頭のある小学校の林間学校の行事を記録した映像。灯りの落ちた体育館に設置された、変なオブジェに無数に立てられた蠟燭に、児童がチャッカマンで一人一人5秒カウントダウンの間に火を灯すという、奇妙な行事の最中、背後の壁に何故か扉が出現し、ひとりでに開いたその扉から不気味な人影が覗く。
そこにはかつて倉庫があり、窓から侵入した人物が自死してしまった出来事があり、それ以降、扉ごと閉鎖されてしまったそうだ。
感想
現象としては不気味であり、灯りが落ちただだっ広い体育館の一角というシチュもなかなか良い雰囲気です。フェイクだとしても古い映像によく溶け込んで違和感はありません。
先生のチノパン越しでも判る、もっこりとした〇んこが妙にでかくて、それが印象に残ってしまいました(笑)。
古き良き映像(怖くはない)
概要
1997年の映像。家庭用ビデオカメラで、近所か何かの市民プールみたいなところで、移動販売のアイスクリーム屋さんの車の、リアゲート後ろにネクタイを締めた男性の姿が写り込んでた。
この映像はアシスタント・プロデューサー、真田の友人の彼氏の幼少期のもの。その彼氏(宇治田稔さん)に映像の使用許可を得るために交渉していたところ、この映像の先に奇妙な儀式の映像が存在することが発見されたのだが…。
ここに映る子供は稔さんのようだが、彼にはこの記憶は全く無い。また、その儀式をやめさせようとする父親の姿、続けさせようとする母親の姿、そして暗転後、父らしき男性が、稔さんに謝罪するような映像も続いていた。
プロデューサーの小田氏を通じて女子高生霊媒師、美聖(みきよ)さんを招聘するが、彼女は稔さんには「何もない」と、そっけなく答えるばかりであった。だがその際の映像では、稔さんの頭部に異常な現象が起こっていた。
両親の離婚後、ずっと会っていないという稔さんの母親に会えないかと、彼は記憶だけを頼りにその実家を見つけ出す。既に空き家になってしまったこの家には不可解な痕跡が残っており、また、数々の心霊現象にも出くわす。
後編に続く。
感想(ネタバレ)
なんてことはない心霊映像の後に、幼いころの稔さんが布団に寝かされ、霊媒師がお経のようなものを唱えています。その枕元付近に子供のような黒い影が浮かび上がるというもの。
これ自体は影だけなので別に怖くはありません。でもその映像には続きがあって、父親がカメラに向かって稔さんに呼びかけるように「すまない」と謝罪しているシーンになります。「もうどうしようもない」と謝っているところで、稔さんらしき子供の「ただいま」と言う声で映像は終わります。稔さんの身に何かとんでもないことが起こるのでは、と不安にさせるシーンですね。
でもなんだかわけが分からないので、取り敢えず稔さんを霊媒師に見てもらおうという事になるのですが、「霊媒師と言うのもピンキリなのでどうしようか」と言う話になります。真田さんが「女子高生霊媒師とかおったら最悪やわ」なんて言っていたのに、プロデューサーの小田氏が探してきた、信頼できるという霊媒師が、ホントに女子高生だったのが笑えます(しかも可愛い)。案の定満足のいく鑑定結果ではなかったので、毒づく真田さんですが、これが後の展開のちょっとした伏線になっています。
空き家になった母親の実家に勝手に侵入しますが、稔さんの「ま、僕、息子なんで大丈夫でしょう」に笑いました。でも家の中の雰囲気は結構怖いものでした。白木の仮位牌がゴロゴロ転がり、稔さんも知らない男児の写真、母親の弘子さん宛ての稔さんの成長を喜び、感謝する手紙など謎だらけで、後の展開を期待させます(撤収する前に「お母さん」という子供の声も聞こえます)。
また、この家を探索しているときに霊媒師の美聖さんから電話がかかってくるのですが、そのiPhone着信音が、またまたよりにもよって「ほんとにあった!呪いのビデオ101」の時と同じ、「黒電話」だったため、この空き家の電話が鳴ったのかと、ちょっとびっくりしました。事務所での鑑定に不満で胡散臭さを感じていた真田さんは、この電話を無視してしまうんですが、これが伏線回収の一つになります。
何故か明示されませんが、稔さんは物心ついた直後に両親とは別れ、親戚か何かに預けられていたようですね。概要には書いていませんが、お父さんは数年前に病死しているそうです。
現下此処にいる ~メッセイジ參~(意外と怖い)
概要
1980年代後半、幼い投稿者を含めた家族の夕食風景を記録したホームムービー。観光地のホテルか何かでの豪華なディナーであったが、窓の外に髪をなびかせた不気味な女性が立ちすくんでいる姿が写り込んでいる。
投稿者はこのホテルのそこかしこで見かけたこの奇妙な女性を覚えていた。だが、投稿者以外の家族や、その他誰も、この女性の姿は見えていない様子だったという。
感想
これも良くある映像のパターンです。でも、レストランの落ち着いた照明は暗く、海沿いっぽい窓の外は少し明るくて、写り込んだこの世のものじゃない何かはシルエットになって、雰囲気が抜群です。古い映像特有の画質の悪さ、ノイズの多さもいい感じです。
このシルエットの女性の髪が長く、ねっとりとした質感で風になびく様子がとても気持ちが悪く、意外と怖かったですね。
現下此処にいる ~メッセイジ肆~(少し怖い)
概要
スタッフと稔さんは、母親の実家に残されていた手紙から、間(あいだ)美貴さん、保志さん夫婦とファミレスで落ち合う。美貴さんは稔さんをまるで実の息子であるかのように接し、稔さんもまんざらではない様子で意気投合。だが、終始寡黙であった保志さんがタバコを吸いに店を出たところで、彼に詳しい話を聞くことができる。息子を早くに亡くしてしまった間さん夫婦は、稔さんの母、弘子さんにある依頼をしていたのだ。
それは、息子の白木の仮位牌から、聡さんを本位牌に見立て魂を入魂させる、まるで「御霊入れ」のような儀式であった。美貴さんは息子を亡くしたことを受け入れず、息子の魂を入魂した稔さんを息子のように思い、心の平衡を保っていたのであった。稔さんにはあずかり知らない事であったが、彼は別れ際、まるで本当の母親に会ったように満足げな表情であった。
保志さんからの情報で、あの映像に映る霊媒師と話をすることができた。風水の相談で弘子さんと知り合ったこと、ある日を境に彼女と連絡が取れなくなったこと、稔さんは魂を受け入れることができる、稀有な体質であったこと、子供亡くした肉親に稔さんの体に「御霊入れ」の儀式をすることをボランティアで行っていたことなどが判明する。だが、もうすでに引退しているという無責任な逃げ口上で、それ以上のことは判らなかった。
後日、保志さんから息子の御霊入れの際の映像が送られてくる。そこには衝撃の事象が記録されていた。また、稔さんを霊視した美聖さんから、あの時言えなかった事として、驚愕の霊視結果が告げられるのだが…。
感想(ネタバレ)
冒頭で、あの空き家で子供の霊が写りまくっていることが判ります(暗くて通常再生ではまず判りません)。
要するに稔さんの体に、亡くなった他の同年代の子供の魂を入魂させる活動を、母親が行っていたという事。一体全体なんでそんなことしようと思ったのかは謎のままです。父親は止めさせようとしましたが手遅れだったようで、それがあの謝罪なのでしょう。
稔さんの体には、間さん夫婦の息子の魂も宿っているので、本当のお母さんの感じがして、彼も意気投合したのでしょうね。その後、間さんから入魂の儀式の映像が送られてくるのですが、その際の稔さんの目玉が、ちょっと大変なことになっています(ぜひ本編をご覧ください)。
さらに衝撃なのは最初の霊媒師、美聖さんの「聡さん体には13人もの魂が見えた」という言葉。3人や4人ではなく、「そんなにいるのかい」って感じで、「なぜその時に言ってくれなかったんですか」という真田さんの問いに「本人の前でははばかられた」「信じてもらえそうな雰囲気じゃなかったし」との答え。そりゃそうだ、真田さん、胡散臭さ丸出しの態度でしたしね。「何度も電話したけど出てくれないし……」(笑)。真田さん素直に謝ってしまた(これで伏線回収)。
また、美聖さんはもっと衝撃的な言葉を発します。
「稔さんの魂が…〇〇〇〇〇〇〇です」
「は?」
伏字の中は本編で確かめてください(文字数は端折ってます)。大体想像つくと思いますが。
そりゃお父さん謝るわ。
どうでもいいけど、間さん夫婦が指定したファミレスは北関東のチェーン店「フライングガーデン」ですね。「爆弾ハンバーグ」が看板メニューで、静岡の有名店「さわやか」を彷彿とさせて、お勧めです。また食べたくなったな。
感想まとめ
今回も面白かったですね。映像で怖さを感じさせるというよりは、ストーリー、シチュエーションで怖くなるタイプです。全部説明するわけにもいかないので、レビューにちょっと苦労しました。
今までインタビューに答えてくれて、取材にも同行してくれた稔さんは、実は稔さんではない何かであり、13人の魂が宿った別の人物……と言うことが判り、うっすらと怖さが沸いてきます。映像の彼の頭に異常が起きるのも、彼の守護霊からの警告なのでしょうか。
では、本当の稔さんは何処に行ってしまったのでしょうか。あの空き家で「お母さん」と呟いたあの声の主こそが、実は本当の稔さんなのでしょうか。お母さんの弘子さんが突然姿を消してしまったのも、本当の稔さんから何か影響を受けたからかもしれません。
でも、この巻リリースしてしまったら、実は自分が自分じゃないことが、稔さん本人や、彼女さんにもバレてしまいますが、まあフィクションですから気にすることもないんでしょう。
それでは(来月はXXX最新作がリリースです)。
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コメント
今回も面白かったですね。
稔さんの母親はナチュラルな毒親だし、霊能者は無責任だし…と、もやもやする感じが良かったです。
あと恒例の食事シーンもあって安心しました(笑)
食事シーンありましたね(笑)。
稔さんの母親の母親の目的がよくわからないのがモヤりますね。