はじめに
「フェイクドキュメンタリーQ」18本目、「怪談」(Passengers)」を視聴しました。今回はちょっと長くて23分程あります。ちょうどTVの30分枠に収まりそうなサイズですね。
概要
元タクシー運転手である前野さんと待ち合わせをする撮影者。心霊ドキュメンタリービデオの取材パートのような雰囲気である。
前野さんは怪談師としても活動しているそうで、以前掲載されたコンビニで売っているDVD付きホラー系雑誌を持参して車中の見せてくれる。だが、怪談師としての活動はままならなかったようで、仕事もこの本1本で終わってしまったらしい。
前野さんの怪談はタクシー運転手時代の出来事。それは客として乗った若い女性が、人里離れた場所を指定し、その場所に到着するとタクシーを降りて森の中に歩いて行ってしまうというもの。彼はこれ以来、このような客を乗せ、しかも同じ場所で降りて行くという経験を何回もしたという。
例のDVD付きムックの内容はその経験をもとに、現場にプロデューサーの井沢氏と訪れると言うものであったが、そこで不思議な出来事があったそうで、その様子がDVDにも記録されていた。そして、このエピソード取材の車内で、彼はある重大な告白をする。
さらに再び向かったその場所では驚くべき光景が待ち構えていた。
感想(ネタバレ)
タクシーの客が人里離れた場所の道を指定して、降りて消えてしまう(森の中に歩いて行ってしまう)というのはまあよくあるかもしれないシチュエーションです。この森が人を死に誘っているとか、乗せた客はこの世の者ではなかったのではなかろうか、みたいな怪談ですが、彼は車中で「実はこれ、作り話なんです」と自ら告白してしまいます。なのでそのDVDあった不思議な事など、この地で起こるはずはない、と言うのです。
DVDでは、森の中になんか目印みたいなものがあったり、木の枝にたくさんの顔写真がぶら下がっていたり、衣服が落ちていたり、謎のメモが落ちていたり、墓標のように木の棒みたいなものがいくつも地面に刺さっていたり、謎の人物らしき気配や懐中電灯の灯りが見えたり、辺りに怪音が響いたりと不可解な現象が続きます。
最後には暗闇の中、乗ってきた車に辿り着いたら、中に人が乗っているとディレクター井沢さん(声だけの出演)が怯え出し(前野さんには見えない様子、映像では暗くて分からない)、挙句の果てには後部ドアがひとりでに開いてパニックになります。
彼らはそのまま徒歩で山を降り、ファミレスで一夜を明かしたそうですが、井沢さんは青ざめて黙り込んでしまいました。前野さんは撮れ高アップの為の井沢さんの仕込み、ヤラセではないかと最初は思っていたそうです(あらかじめ場所は伝えておいたらしい)。ですが、その後の彼の様子から、あれは何だったんだと感じているようです。だってあの怪談は嘘なんだもん。
今回の取材(?)で、その現場に行ってみることになるのですが、その場所は深い森などではなく、広大な敷地一面に墓石が並ぶ大規模な霊園でした。前野さんはその光景に驚き、絶句してしまいますが、撮影者が一言発します。
「前野さんって、なんでタクシーの運転手を辞めたんでしたっけ?」
これでこのエピソードに何とも言えない深みが加わりました。この撮影者は前野さんがタクシー運転手を辞めた理由、きっかけを知っているような口ぶりだからです。前野さんの怪談は実は作り話ではなかったとか?
そもそも前野さん、本当ににタクシードライバーだったの?とか、今エピソードの取材ってほんとに心霊ドキュメンタリーのものなの、とか、あのDVDはヤラセなの?、だとしたらどこまで?、全部?、とか、疑問が色々と出てきますね。
また前野さんへの車でのインタビューシーンで、妙に音声が歪む箇所あるんですよね。あれは前野さんが嘘をついているということでしょうか。
何もかも判らず、確定的なものは何も出てこない、だけどいろいろな考察が考えられる余地が残されている。いつもの「Q」通常運転エピソードでした。
因みに英文タイトルの「Passengers」ですが、これは英訳すると「乗客」となります。今エピソードにふさわしいですね。
あと、ひょっとしたら僕の勘違いかもしれないんですが、声のみ出演のディレクター井沢さんなんですが、話す感じとか声とかが、なんか「NotFound」の古賀さんっぽいと感じます。寺内氏がよく「アムモ98」で仕事しているし、「心霊マスターテープ」でも共演していたので、十分あり得ると思いました。
それでは。
コメント
取材パートでdvdと同じ道(道の分岐点にカラーコーンがある)を通る場面があるんですが、dvdでは冬なので丸見えだったのが、現在では夏になり植物が生い茂って見えなくなっていて、かなり時間をかけて撮影したことがわかります。(公開日は8月6日)
最後不自然に前野さんの顔がズームされて胡散臭い髭が地毛だとわかるんですが、これは制作班が「お前の体験したことは正真正銘ほんとだぞ」と示していると言われています。