初めに
「放送禁止5 しじんの村」は2006年10月15日、26時55分に放送されたフジテレビのドラマです。一見ドキュメンタリーのような演出がされていますが、番組の最後に「この作品はフィクションです」とのテロップが表示され、視聴者にフィクションであることを宣言しています。連続ドラマではなく一話完結で、TV放送版が7話、劇場版が3作品作られており、本タイトルはその5作目です。
概要
TV局では、何らかの理由によって放送ができなくなった所謂「お蔵入り」となった素材が、人知れず保管されていることがある。今回その一つを発掘し、再編集したものがこの番組である。
取材班は長野県にある村を訪れる。「しじんの村」と称するこの村の住人らは、老若男女問わず様々な世代の人たちが共同生活をしているが、いじめやリストラなどで社会に上手く適合できず、ドロップアウトしてしまった者たちの集まりである。
この村の村長を名乗る「しじん」こと久根さんは、かつて教鞭をとっていた中学校で、一人の男子生徒T君を自殺により失ってしまった事をきっかけに、この村を私財を投げうって設立。それ以来社会になじめず深い傷を負った人たちを集め、何とか社会復帰させる活動を行っている。
彼らは敢えて本名は明かさず、ハンドルネームのようなニックネームで呼び合う。いずれも深く傷ついているようだが、詳しい経歴に触れないのが暗黙のルールになっているそうだ。この場所で自分を見つめ直し社会復帰を遂げるものもいれば、静かに村から消えてしまう者、立ち直れずこの村で自殺してしまう者も少なからず存在するという。そのため村には全員の承諾の上で、数台の監視カメラが設置されている。
取材を進める中、村人の一人である女性、ハニコさんが首つり自殺を試みてしまう。総出でこれを阻止することに成功するが、彼女は寄り添う久根さんに「死にたい」と繰り返すばかりであった。彼女は姉と共に父親からDVを受けていた。父親が亡くなり、ようやくその呪縛から解き放たれたと思ったのだが、精神を病んでいた姉はこの村に来て自殺してしまった。ハニコさんはこの村で姉の後を追うつもりなのである。
そんな折、村にいた時の彼女の姉を知る若い男性、Sカルマさんに生前の姉の話や、遺書などを見せられ、心を交わすうちに、ハニコさんは生きる希望を見出すようになってくる。だがその後Sカルマさんはこの村の湖で突然水死体で発見される。遺書が見つかったため警察は自殺と判断した。悲しみからか、激高して叫びながら久根さんの習字を剥がしてぐちゃぐちゃにするシュウさん。ハニコさんも彼の後を追うように再び自殺を試みるが、すんでのところで村の仲間に阻止される。その後彼女は心の整理をつけたのか、しばらくして村から去ってしまった。
取材はここでいったん終わるのだが、ハニコさんの消息がつかめず、映像の使用許諾が取れないため番組として放送はされなかった。3年後、ハニコさんから連絡があり、あの村の生活を感謝するコメントをするなど、なんとか社会に復帰できたようだ。だが、3年経った「しじんの村」はもぬけの殻になっていた。よりにもよって村長の久根さんが自殺してしまったからだ。
そしてこの村を再び訪れた取材班は、残された監視カメラの映像に驚くべき秘密を発見してしまうのである……。
感想(ネタバレ注意)
冒頭でハンドル付きの動く本棚みたいなやつに、過去のビデオテープが保存されているシーンがありますが、あれには大学時代にレポートの資料を探すときにお世話になったことを思い出します。あれのことを「スタックランナー」とか言うらしいですよ。
不覚にも当初、このタイトルを「じしんの村」と読んでしまい、村を襲う謎の群発地震か何かの話かと思いましたが、開始数秒で読み間違いに気が付きました(笑)。
様々な伏線で気づいたのは以下の事柄。
- 詩人が何故かひらがな(まさか死人?)。
- 久根さんが描いたと思われる習字の「ね」が4つ。まさか「〇ね」?
- 朝食時の久根さんのセリフ。「パン、葡萄、ミルク、林檎、それぞれ詩(うた)があります。どんな詩(し)を持っているのか想像しながら食べてみませんか?」わざわざ「うた」を「し」に言い換えているが、「それぞれ(村人)がどんな死を持っているか」とも感じられなくもない。
- 久根さんが筆をとった「人が最も美しい時それは生と死の間」。なんか不穏。
- 久根さんの「自殺は自分の生涯のテーマ」発言。
- 監視カメラ。当時としてはかなりシステマチック。モニターは業務用で、ちょっと大げさすぎる気が。
- ハニコさんの2度目の自殺未遂時、久根さんが何故か片手にビデオカメラ持っている。
- ハニコさんを諭しているときに、何故かずっと久根さんを睨みつけるフクさん。
- 久根さんのセリフ「自殺志願者の手助けをしていきたい」→「自殺幇助?」
- スタッフが村を去るとき、手を振る久根さんの後ろにフクさんとシュウさんがじっと見てるぞ。
- フクさんとシュウさん。「フク」「シュウ」……ん?
- 残されたビデオ発見。てか久根さん自殺する人を超近くで撮影してるじゃん!やっぱり!
- Sカルマさんを殺してるじゃんか!。
- ハニコさんの2度目の自殺の時も撮影しようとしていた。
- T君と両親の写真。てかこれフクさんとシュウさんじゃないか!
- 不鮮明で判りにくいが、久根さんを殺したのはフクさんとシュウさん。
前巻はあまりにも判りやすいダイジェストが、クライマックスで流されるのが不満でしたが、今回はこれが「ちょっとわかりやすい」程度に改善されていましたね。このくらいのバランスがちょうどいいかもしれません。
これは自殺を思いとどまらせようとしている体で、実は自殺の場面を撮影したかった、見たかったという、頭のおかしい久根の「死人の村」だったという事でしょうね。T君も久根さんに自殺幇助されていた疑いが濃厚、両親のフクさんとシュウさんは本名を隠して村に潜入、復讐の機会を伺っていたのでしょう。
久根がSカルマさんを殺したのは、ハニコさんと良い仲になって自殺を思い止まりそうだったから。シュウさんがキレたのは、自分たちの復讐のために、直接的にではないにせよ、結果的にSカルマさんが殺される羽目になった事からの贖罪と、久根に対する怒りから。その後バッチリマークしていたのでハニコさんの自殺は阻止できた。フクさん睨みつける。
これはなかなか面白かったですね。何回も見返せば、何か新たな発見がありそうです。
それにしても完全に殺人事件。バッチリ証拠映像が残っているのに警察は何をやっていたのでしょうか。また、Sカルマさんの遺書は久根の捏造だと思うのですが、それもちゃんと調べなよ。てか落とされただけで溺死とか、どんだけ深い湖なんだよ、とかのツッコミどころはあります。
フクさんとシュウさんはT君の両親なのに、久根はかつての教え子の両親の顔を覚えていないもんですかね。てか若いフクさん可愛い(笑)。
今回はハニコさんの最初の独白シーンが長くてちょっとダレましたね。彼女の心境を知るにはこのシーンは重要なんで、やむを得ないのですが……。あ、立ち直ったハニコさんも可愛いですね(笑)。
謎解き要素は若干地味かもしれませんが、ストーリーはかなり面白かったです。
では。
コメント
私事になりますが、実はこの『しじんの村』のエピソードを巡って7月頃奇妙な体験をしました。とある夏の夜、XXXNEO12としじんの村をセットで見て寝たのですが夢を見ました。以前にもお話したようにホラーを見たあと見た内容を夢として見てしまうのですが今回も例にも漏れず見てしまいました。以下夢の内容です。
気がつくと、村人たちが昼間集まっていた集会所(シュウさんが激昂してしじんの詩を破いていた場所)に佇んでいました。テーブルの上にはXXXneo12のオブジェがありましたが、集会所には私一人しかいませんでした。急いで集会所を出て、村の出口まで向かって走っていると突然喉元にチクリとした痛みが走り、火傷のような感触が表れました。
痛みながらもしばらく走ると、前方に村人の姿(覚えているのはハニコさん、フクさん、シュウさん、うっちーさん、そして紫のジャージを着た眼鏡の男性)が見えました。本能的に危機感が働きすぐに踵を返すと目の前にはしじんとsカルマさん、そしてneo12の赤いセーターの女が立っておりしじんが私の首にロープをかけて木に吊るし上げたところで目覚めました。
これだけなら変な夢で終わるのかもしれませんが、起きてすぐあとに首元に火傷のような痛みが走っていました。洗面所に向かって鏡で確認するとなんと首元が赤く腫れておりしかもロープ状のように絡まっているような形になってました。その日学校を休み病院で検査を受けるとアオバアリガタハネカクシによるものだと判明。実は以前の夏にもハネカクシにやられ、その時も首元と腕、足をやられました。ハネカクシは夏の湿度が高い暑い室内でよく目撃され夏頃になると被害報告が出ると後で聞きました。ただ、今回はなぜか首元に集中的にやられてたのが不気味だったです。
以上私が体験した出来事でした。
ちょっと怖いじゃないですか(笑)。
>踵を返すと目の前にはしじんとsカルマさん……
ここが想像したら怖いですね。
>そしてneo12の赤いセーターの女が立っておりしじんが私の首にロープをかけて木に吊るし上げたところで目覚めました。
ここも怖い。
しかし、アオバアリガタハネカクシとは災難でしたね。
現象の理由が合理的に説明できるとしても、ちょっと釈然としない怖さがありますね。
もう一つ、ハニコさんの最初の自殺未遂でもしじんの手元にハンディカメラが備えられてますね。
また考察ですが、習字の一つに『しじんはしじんのでありしじんにあらず』
→しじんは死人(死神)であり詩人ではない。
しじんのインタビュー最後の言葉
『私はこれからも手助けをしていきたい、しじんとして』
→死神として自殺幇助をしていきたい。
ハニコさんの姉の手紙『しじんの助けには本当に感謝している
私は一人じゃなかった』
→死ぬ間際にしじんが手助けしてくれたおかげで死ぬことができた
それにしても、このしじんの村、いつか呪いのビデオやXXXの舞台になってほしいです。しじんの遺したビデオが警告映像みたいな
1回目の自殺未遂の時も持ってましたか、気が付きませんでした。
しじん→死神とも読めますね。
そう言えばハニコさんの姉の自殺シーンでは、驚いたような態度だったのが気になります。
この場所うらびれたキャンプ場かなんかだと思いますが良い雰囲気ですね。
それと主様は気づいていないと思いますが、よく見ると最後のビデオテープのラベルT君が自殺した日付もございますね。やっぱしじんTくんの自殺に関わってたんじゃ…また、ビデオテープのラベルを見る限り、しじんの村設立前からしじんはビデオで死に際を撮影していたらしいですね…
日付まではチェックしていなかった(汗)。なるほど。
ご考察のとおりだと思います。
また、フクさんが言っていた『私達も見守っている』というセリフが妙に気になって、隈なく精査したのですが、よく見るとハニコさんやしじんを監視している部分がありました。
1つ目 ハニコさんのバンガローの映り込み
2つ目 ハニコさんの牧場のインタビューシーン 向かって左側の肩越し
シュウさんが激高していたのは、ハニコさんはチェックしていたけれども、Sカルマさんを手にかけることまで予想できなかった、してやられた、という悔しさからかもしれませんね。
DVDは返してしまったので、他のサイトの考察で確認しました。
みんなよく見ているなあ。
楽しめたみたいで何よりです。直前に過去作がDVD化されたこともあって
一気に認知度が高くなり、過去最高の考察が行われたのがこの5でしたね。
まだシリーズは残ってますが、6以降ちょっと尻すぼみになるかなぁと思ってまして。
裏コンテンツっぽかった番組が認知度を得て大衆的にシフトしていく雰囲気を感じたんです。
(だって「劇場版 放送禁止」って…変でしょw)
そこに世間の飽きも重なったのかシリーズも廃れてしまいましたね。
とりあえず6も見るのであれば「餃子」とだけ言っておきます
>裏コンテンツっぽかった番組が認知度を得て大衆的にシフトしていく雰囲気を感じたんです。
ああそれってなんかフジテレビにありがちな感じがしますね~。
4で作中内のヒントがわかりやす過ぎることに不満だった私が耐えきれるかどうか不安です。
>とりあえず6も見るのであれば……
ぎょ、餃子w
餃子出てきました(笑)。
ラー油(笑)。