はじめに
「ほんとうに映った!監死カメラ6」のレビューです。監督は前回に引き続き坂井田氏のようですが、今後このシリーズを引っ張っていく存在となる寺内康太郎氏が同等の立場で初参加しているようです。
演出補はキンタさんのみが続投で、新たに辻沢綾香氏が初参加。ただし、演出補の肩書は今回より「アシスタント」に変更されています。それとは別に「演出補」という肩書に鳥居康剛という方がクレジットされていますが、どのような役割分担なのかはよくわかりません。
墓地(ほんの少し怖い)
概要
とある墓地の監視カメラ。この墓地は心霊スポットとして有名になってしまい、肝試しの若者が良く訪れるようになってしまった。その行動を抑止する意味合いもあってカメラを設置したそうである。
映像は墓石の間から黒い人影のようなものが現れ、こちらを手招きしているような様子が確認できる。地面に落ちた影にも同様なものが映り込んだ。
感想
現れる黒い影は怖いというほどではありませんが、禍々しさがあふれていてなかなか雰囲気があります。つかみとしては良映像でしたね。ただ、ナレーションに説明される「おいでおいで」しているようには見えませんでした。
この時点ではその後あんなことになろうとは思いませんでした。
巡回(ちょい怖)
概要
深夜の病院の中を2人組で巡回する看護師。廊下に差し掛かると、看護師たちは何かを見つけたようなしぐさで後ずさりする。周りの壁には、今にも崩壊しそうなほどに大きな割れ目のような模様が浮かび上がっている。
彼女らは踵を返し非常階段の方向に逃げ出すが、その階段付近で正体不明の竜巻のような灰色の渦に遭遇し、1人は床に倒れこんでしまい、もう一人は姿を消してしまった。
この病院ではかつて精神病院であり、錯乱した患者を虐待して屋上に放置して死に至らしめるという事件があった。映像で姿を消した看護師は屋上で発見されたそうだ。亡くなった患者の怨念が今だ彷徨っているのであろうか。
感想
まず廊下の壁に割れ目が見えるのですが、とても漫画チックでリアルさが感じられません。「破裂するように割れる」とナレーションされるのですが、全然膨らんでいないので破裂するようには全く見えません。
それより階段で発生する渦のような、竜巻っぽいエフェクト(あえてエフェクトと言い切りますが)が、結構良かったです。ただの風ではなくて、血管のような気持ちの悪い模様があって、怖さが引き立ちますね。完全にフェイクとわかってしまいますが、派手でよかったです。
このエピソードまでは割とまともだったんですけどね(笑)。
幽霊をコレクションする男(なにこれ)
概要
初っ端のエピソード「墓地」の映像には続きがあった。先ほどと似たような黒い影が再度現れたと思うと、奥から唐突に男性が現れ、48リットルのごみ袋(ポリ)を広げ、この影を捕まえてしまう。
投稿者であり、墓地の管理者の息子さんからこの男性の情報を提供してもらう。事務所に「幽霊を捕まえさせてほしい」との問い合わせがあったというのだ。この男性は石田さんといい、幽霊をゴミ袋で捕らえてコレクションしているという、にわかには信じられない趣味を持っていた。
さっそく石田さんにコンタクトし、自宅を取材させてもらう。コンクリート床の元店舗と思われるコレクションルームには、棚に整理された48リットルゴミ袋が棚にぎっしりと収まっていた。袋には採取場所や日時が記されており、そのなかには有名人の名前が記された袋もいくつか存在した。彼は幼少期から幽霊が見えるいわゆる霊感体質で、まるで昆虫採集するかの如く長年幽霊を集め続けているという。
取材班は最近てこずっているという、地縛霊の採取に同行する。はた目には一人芝居をしているようにしか見えないが、石田さんは幽霊との格闘の末、採取に成功したようだ。達成による満足感包まれた彼の首筋には、幽霊につけられたと思われる首を絞められたようなあざが青黒く残っていた。
感想
は? なに? あのゴミ袋で幽霊捕まえられるんだ。壁とか簡単にすり抜けられるのにゴミ袋からは逃げ出せないんだ(笑)
捕まえるのに専用の網とか特別な道具を使うのではなく、ただごみ袋広げているだけなのはシュールを通り越してふざけているようにしか見えませんね。
でもまあ、ばかばかしくて楽しいんですけどね。
ちなみにコレクションルームのシーンで床にたまった水をデッキブラシで掃き出すシーンがありました。彼の奥さんと思しき女性が、「幽霊を置いておくとなぜか水が出るんですよね」というセリフが妙にリアルというか、それっぽかったのが印象に残っています。なるほど。幽霊と水ってなんか関係ありそうですもんね。
スマートフォン(少し怖い)
概要
暗い森の中で、取材陣が女性の白骨遺体を発見してしまった際の映像が流れる。
1枚の心霊写真を投稿した佐藤さん。漫画喫茶で盗まれたスマートフォンが不当に中古ショップで売られていたことで警察から戻ってきたのだという。だがそのスマホには、佐藤さんが撮影した覚えのない写真が何枚かあり、その中の1枚が心霊写真だったのだ。
暗い森の中で撮影したと思われるその写真には木の枝からのぞかせ、口を大きく開け苦悶の表情の女性と思しき顔が映り込んでいた。だがどこで撮影したのか、皆目見当がつかない状況では、調査のしようがない。監督の坂井田氏も、アシスタントの金田も、手掛かりがないために調査には消極的だったが、心霊コーディネーターの青木氏が、写真に位置情報が埋め込まれていることを発見する。
後日取材班は青木氏と佐藤さんをひきつれて、心霊スポットでもあるその場所に向かうことにする。だが途中微妙なアクシデントに見舞われ時間をロスしたり、青木氏がせっかく経費で買った霊感知器を車に忘れてきたり、なんだかグダグダで緊張感の欠けた取材になってしまう。心霊写真の撮れた場所では特に何もなかったが、スマホに残された別の写真の場所にも行ってみることにする。終始遠足みたいな軽いのノリの佐藤さんのわがままに、坂井田氏がキレて彼女を泣かせてしまう一幕も。
だが日が暮れるころになると次第に不穏な空気が立ち込め、何かを感じた青木氏が一人で森の奥に入って行く。彼が何かを見つけたその先には、冒頭で紹介された白骨遺体が横たわっていた。思わず手を合わせる金田もえ。警察に連絡し、その対応は深夜にまで及んだ。
帰りの車の中、遺体に遭遇して神妙な面持ちの取材陣の中で、「このV(VTR)って、このあとKATORさんに見てもらうんですかね(笑)」と、さっき怒鳴られたことも忘れたのか、ただ一人軽いノリの佐藤さんを呆れたように横目でにらむ坂井田氏であった。
感想
本物の遺体ではなくてフェイクだと思いたいですね。
今は封印された問題作「ほんとにあった!呪いのビデオ 呪海スペシャル」に比べて、あっさりと遺体を写しちゃっている(当然ぼかしが入っていますが)扱いの軽さが感じられました。
その軽さがまさに投稿者の佐藤さんに現れていて、坂井田氏がキレる気持ちもわかります(ちょっといきなりキレ過ぎですが)。このあたりの異常さが、このエピソードのテーマの一つなのかもしれませんが、当の坂井田氏だって落ちていたパンティを枝に引っ掛けてふざけていたりしていたのですから人のことは言えません。
心霊写真の女の顔は少し怖いし、ご遺体の映像もまあまあリアルなんですけど、その前のグダグダな取材展開に恐怖感が薄れてしまいます。キンタさん(金田もえ)だけがご遺体に手を合わせていたのが印象的です(その後みんな手を合わせたのかもしれないですけど)。
霊気アレルギー(なにこれ)
概要
繁華街のスクランブル交差点。一人の男性が急にどさっと倒れ、そこから黒い煙のような靄が立ち上る。この監視カメラの映像を見たKATOR氏の見立てでは、これは霊に憑依された瞬間であるそうだ。人間は本人の意思に関係なく霊に憑依されやすい体質(霊媒体質)が存在するという。
KATOR氏の紹介で憑依されやすいという人物、北村さんを紹介してもらう。北村さんは取材は自宅で行うこと、そしてスタッフは一人であるということを条件にこれを承諾してくれた。そこで、新アシスタント辻沢綾香が、玄関先にスタッフを残し単独で取材に挑む。
北村さんの部屋では入室前に体を塩で清めることを要求したり、そこかしこに魔除けが配置されていたり、窓という窓はアルミフォイルで目張りされていたりと霊の侵入に対して神経質になっているようであった。幼いころから癇癪持ちであった彼は、母親に連れられ神社でお祓いを受けたところ、生まれつき霊に憑りつかれ易い体質であると宣告されてしまった。そのため彼は、身を守るために部屋から外に出られなくなってしまったそうである。普段はネット上でイラストレーターとして生計を立てている彼だが、身の回りの世話は母親にしてもらい、中学生の頃から十数年、一歩も外に出ない生活を続けている。
霊感はあるものの、霊を見ることができない北村さんが、それを感知する方法があり、見せてくれるという話になると、なぜかおもむろに衣服を脱ぎ始める。カルバンクラインの白いボクサーパンツ一丁になったと思いきや、彼は衣服の下に何故か女物のパンティストッキングを履いていた。そればかりか上半身もパンストを切り裂いてシャツ状にしたものを纏っており、全身パンストを着こんでいるという異様な姿をさらす。
北村さんによると霊を感知するにはポリウレタンのパンストが最適で、その反発力から霊が体に入り込もうとすると、ストッキングにひびが入り、すぐにその存在を確認できるという。なおこのひびは、第三者にはストッキングの伝線と区別はつかない(笑)。辻沢も北村さんに勧められて服の上からパンストを着こむが、パンツ一丁の北村さんと頭まですっぽりかぶった辻沢の2ショットはシュールというか、ばかばかしいというか、ここは笑うところですか?
そこに買い出しから帰ってきた北村さんの母親が現れるが、彼女はいつもの事という感じで、このような異常な光景にも全く動じていない。
さしもの北村さんも、風呂に入るときにはこのパンストも脱がなければならないそうで、そのため風呂はわずか1分で済ますという。その真似事をバスルームで披露してもらうのだが、途中で彼の様子がおかしくなる。突然苦しみだし、最初に紹介された映像のように黒い靄が彼の体から立ち上る。その様子に動揺してしまう辻沢であったが、落ち着き払った母親が冷蔵庫から飲み物を取り出し、彼に飲ませて落ち着かせる。この飲み物は神社のお札を溶かしたもので、霊が入り込んだ時に効果があるという。母親によると部屋に招き入れた人の守護霊に反応してしまうことがあるそうで、今回は辻沢の守護霊に反応したらしい。
北村さんは落ち着きを取り戻したものの、不意に辻沢の守護霊が入り込んだ恐怖からか、「えい!えい!」と霊を撃退するのに効果があるという掛け声により、必死に霊を払うしぐさでエピソードは終わる。
感想
なにこれ、ただの変人じゃないか。北村さんのお母さんが「はいはい、いつもの事」って態度なのが笑います。パンストに身を包んだボクサーパンツ一丁の北村さんはぶっちゃけ気持ち悪いです。
尚、最初の監視カメラの映像とこの霊気アレルギーの北村さんとは直接関係ありません。
感想まとめ
ええと、これはコメディですかね。監視カメラからどんどん離れていってますね。
スタッフロールを見ると坂井田氏は「B班」に追いやられ、「スマートフォン」しか担当していないように見えます。その他全部は寺内康太郎氏が担当しているのでしょうか。良くも悪くもこの寺内氏の存在が、シリーズの今後の方向性を決定づけていくのでしょうね。
まあ、ばかばかしくも案外楽しめのたのかもしれません。
コメント
ここからなんですね、シリーズの転換点は。
今後この「ばかばかしい」シリーズをittonさんはどこまでレビュー出来るでしょうか?笑
みっつさん
一応全部見るつもりではありますが、あと10タイトル以上あるんですよね…
自信はありません(笑)。