はじめに
「呪いの黙示録 第一章」のレビューです。
前回レビューした「闇動画」を今後観続ける予定ですが、何しろ現在25巻まである(「心霊闇動画」まで入れると+60巻!)ので、かなり時間がかかりそうです。その間ちょっと別のタイトルも観てみたいと思ったのです。
この「呪いの黙示録」は比較的最近のタイトルで、現在までまだ4巻までしかリリースされていません。コメント欄で「OMEGA」さんにお勧めいただいたこともありますし、「アムモ98ホラー劇場」で2巻までは会員無料枠なのでサクッと観れるかな、なんて思ったからです。
監督(構成・撮影)は「ほんとにあった!呪いのビデオ」や「監視カメラ」で活躍した寺内康太郎氏と福田陽平氏で、制作はお馴染みのアムモ98です。そう言えばアムモ98のHPのトップ画像はこの「呪いの黙示録 第一章」ですね。このタイトルは既に4巻までリリースされているのに、このまんまです。未だにSSLにも対応していないし、HPはもう更新する気がないんですかね。
知ってる女(怖くない)
概要
インスタのリレー映像に使うため、互いを撮影しあう若い女性2人組。一人が投稿者、もう一人は投稿者の先輩であるらしい。彼女らは少し離れた柱の陰からこちらを覗く人影に気が付く。声をかけながら近づく投稿者だが、その影はふとした隙に消えてしまう。すると先輩が投稿者を驚かすように駆け寄ってくる。思わず転んでしまう投稿者だが、それをみた先輩は、何故か高笑いして人が変わったようだった。
スタッフが映像を確認すると、この先輩、人どころか顔まで変わっていた。投稿者はその顔に心当たりがあり、この先輩の恋敵の女性であったという。結局意中の男性は先輩と結ばれたが、投稿者は先輩を応援していたため、結果的に仲を取り持った投稿者と先輩を、この女性は恨んでいるようだった。あれはこの女性の生霊だったのであろうか。先輩が走り寄ってくる直前「うぜぇ」という女の声も収録されていた。
感想
ただの影なので怖くありません。さらに唯一のびっくりシーンにも「この後先輩が脅かしに来る」とか、前もってテロップで表示されてしまうので、映像的なインパクトは皆無です。
ただ、先輩の顔が変わり、投稿者が言葉を失ってしまうくだりで、人間同士の愛憎劇を強調したかったのでしょう。一瞬変わってしまった先輩の顔はそこそこ不気味ではあります。
卒業式(少し怖い)
概要
とある高校の卒業式後の教室の様子を、保護者が撮影したもの。教室の窓から向かいの校舎の屋上に立つ女生徒の姿が写り込む。一度そこからカメラがフレームアウトした後、この人影は消えてしまうが、直後に教室の天井近くから見下ろす女生徒の姿が、再び写り込んだ。「苦しいよ」という女性の声も入っていた。
この学校ではかつて受験ノイローゼで自死してしまった女子生徒がいるという。
感想
この高校、卒業証書を教室で渡すのか。珍しいな、と思いました。
窓から見える校舎の上の女性は、遠くて恐怖を感じる程のレベルではありませんが、教室の上から見下ろす姿は少し怖かったですね。
ヌルデ -前編-(怖くない)
概要
アシスタント・ディレクターの島田光は、とある不気味なサイトに注目し調べていた。このサイトは特定の個人の男性をストーカーし、呪いをかけたりしているようで、サイト管理人はこの男をだいぶ恨んでいる様子であった。首が消えたり、黒い靄のようなものが纏わりついたり、肩から手がみえたり、後ろから女性の顔が覗いたり、といったこの男性にまつわる心霊現象の動画まで公開されており、呪いの成果であると記されている。
「天才BTの華麗なる日常」というこのサイトの管理人BT氏は、この男性に高校生時代に酷いいじめを受け、恨んでいることを語った。どうやら男性を本当に呪い殺すつもりらしい。BTは男性のTwitterアカウントをスタッフに見せ、その中の彼の写真の顔が不気味に歪んできていることを得意げに披露する。スタッフは呪う方法を根掘り葉掘り聞いたり、個人の動画を許可なく公開することを諫めたりしたせいか、BTは気分を害し、立ち去ってしまう。
スタッフは知り合いのネット特定班にこの男の身元を特定してもらい、その友人を通じてインタビューすることに成功する。だがBTの呪いについては、この男性に伏せていたためか、怪我や事故を負っているにも関わらず、鼻で笑われ、まるで信じてもらえない。BT氏の呪いについて知らせるべきと言う島田の意見と、むやみに人間関係に立ち入るべきではないという、アシスタント・プロデューサー真田怜臣の意見が対立する。
感想
オタクみたいでなんとも冴えない感じで、作成したサイトが15年以上前のテキストベースの古いデザインだったりのBT氏と、TwitterやFacebookのアカウントに充実したプライベート写真を載せ、タワマンに美人の奥さんと住む男性との対比。女の子みたいな顔なのに自分の信念を貫き、意外と熱い(空回り気味だが)島田氏と、お姉言葉だが常識的で人間関係を荒立てず、一歩引いた位置からの取材を説く真田氏との対比が面白いですね。
その他、「ネット特定班すげえ」とか、真田氏が元男性のトランスジェンダーっぽいキャラとか、現代の世相を反映して新しいなあと感じました。
呪いの成果である映像は全然怖くないんですけど、ネット上の男性の顔の歪み方が気持ち悪くてちょっとだけ怖かったですかね。
新居(怖い)
概要
新居の内覧に訪れた家族。だいぶ古い映像のようで、画質も悪くノイズが目立つ。だがその中に心当たりのない女性がバッチリ写っていた。家族の様子でおそらく季節は秋から冬。だがその人物は一人だけ半袖で異彩を放っている。
この映像、10年も前から収録許可がでなかったが、最近になってやっと許可が下りたという。今はもうこの家は売り払い、生活も落ち着いたからだという話なのだが。いったいこの家族と家に何が起こっていたのであろうか。
感想
最初の映像は幽霊の顔までぼかしを入れているので判りません。リプレイでぼかしを外して実はこの人物が幽霊なんです、とか言われても「くちポカーン」です。いやそこに人がいるようにしか見えないって。
でも言われてみると、この女性だけ半袖なのは、なるほど確かにおかしいかも。その説明を聞いた後だと、こっちをカメラ目線で凝視しているこの女の姿にやっと不気味さがこみ上げてきます。
うま~く古い映像に溶け込んでおり、これフェイクだとしたらかなりのクオリティです。
10年以上たってやっと生活が落ち着いたから収録を許諾したってのも「何かあったのか?」と感じさせて怖いですね。
割と好きなエピソードです。
ヌルデ -後編-(怖くない)
概要
スタッフは方針が定まらない中、BTに呪いを止めるように説得するが、彼は耳を貸さない。そんな中、あの男性宅でも怪奇現象が多発するようになってしまう。切迫した事態に島田は、BTの呪いやこの男性がかつて行っていたBTに対するいじめの件を男性の友人にぶつけてしまうが、そんな奴は知らないと言われてしまう。事実男性の卒アルを調べてもBTらしき人物はいない。
話が違うじゃねえかとBTの実家を訪ねると、母親の証言により衝撃の事実が判明する。BTがいじめを受けていたことは事実だったが、BTをいじめていた人物は既に他界していた。BTはいじめの後遺症から、関係ない人物をかつていじめた奴だと思い込み、ストーカー行為や呪いを繰り返していたらしい。彼の部屋には呪いグッズがいくつもあり、その中の「ヌルデ」の枝を使った「摩利支天神鞭法」がかなり強力な呪いのようである。この呪いを防ぐには呪いを止めてもらうか、呪い返しを行うしか方法がないのだそうだ。
真田の真摯な説得にBTは態度を軟化、呪いを中止することを約束してくれた。尚、BTは街角に立つ托鉢僧に気まぐれでお布施をした際、「君の呪いのやり方は間違っている」と言われ、この「摩利支天神鞭法」を教えてもらったそうである。
その数日後、BTのサイトは削除され、サイト上の男性の顔も元に戻る。めでたしめでたしと思いきや、すぐにBTのサイトは復活してしまう。そこには彼の顔に穴がいたようにぐちゃぐちゃに歪んでおり、嘆き悲しむような呻き声を上げ続ける動画1本だけが、上がっていた。
実は男性側は、真田に能力者を500万で雇って呪い返しを行う旨を伝えており、真田はBTを説得するので待ってほしいと約束していたらしい。真田は男性の友人に約束と違うではないかと、抗議の電話をかけるが「そんなの知らん」と切られてしまう。
感想
最初は過去にBTをいじめていたのに、のうのうと暮らす男性の方が悪者っぽかったのに、実はそれがBTの思い込みに過ぎなかったことが分かり、一転BTが悪者に。でも最後に約束を破って呪い返しを行った男性側がまた一転して悪者っぽく終わるどんでん返しが面白かったですね。
まあ、いじめていたわけでもないのに、命に係わる呪いをかけるような相手が改心した、とか言われても信用できるわけないってのも理解できますけどね。でも経済力(500万!)であっさり呪い返ししてしまうあたり、ちょっとモヤっとしてしまいます(笑)。
最後のBT氏の崩れまくった顔が、男性のサイト上の写真の崩れ方と似ていて、人を呪わば穴二つって感じですね。
感想まとめ
「XXX」と異なり、「ほん呪」で言う、演出補的な役割の登場人物が出てきて、意見が対立するといった人間模様が見れたり、監督が顔出ししてたりとかを久しぶりに見た気がします。ちなみに寺内氏は普通に顔出してますが、福田氏はカメラ担当なので声だけしか出演していません(笑)。
ストーリーは練られていて楽しめましたが、やっぱり怖い映像が見たいという気持ちも。
僕にとっては寺内氏は「監視カメラ」のイメージが強く、また斜め上路線にならないかちょっと心配でしたが、いたって真面目に作られている印象を受けました。今後に期待ですね。
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