はじめに
「ほんとにあった!呪いのビデオ Ver.X」のレビューです。この「Ver.X」はほん呪初期のシリーズで、発売時期はちょうどほん呪7と8の間になります。通常盤とはスタッフを一新し、様々な方向性を試行錯誤して探っていたのではないかと思われます。
各エピソードは、まず投稿者が映像に添付した手紙を紹介して、あくまでも一般の人たちからの投稿であることを強調する演出になっています。そしてほん呪の中で中村義洋氏をナレーションに起用していない、数少ないシリーズでもあります。
見えない霊(は?)
概要
投稿者から「ほんとにあった!呪いのビデオ2:窓の外を落下する光」において、映像内で指摘している箇所以外にも霊の姿が写っているという投書があった。スタッフが再度検証するも、そのような写り込みは確認できなかったので、投稿者を事務所に呼び映像の写り込みについて説明してもらうことにする。
投稿者・川島さんは緑色の軍服、軍帽をかぶった男性がはっきりと写っていると断言する。だが、川島さんは霊能力があるというわけでもなさそうで、写っている人物の詳しい背景は何も感じることができず、ただ写っているというばかりであった。
スタッフは霊媒師の中田さんを呼び、見てもらうが、彼女もまた何も写っていないと言う。明らかに不満げな川島さんが、中田さんに食ってかかる場面も。
感想
始まった途端ナレーションの声に違和感を覚えます。中村義洋氏の声が、如何にほん呪に無くてはならないものなのかがわかりますね。
で、「窓の外を落下する光」に、緑色の兵隊さんの霊が写っていると言う件ですが、川島さんのただの思い込みでしょう。「今度はもっと良い霊媒師さんに云々」のくだりは滑稽に見えます。それにしても、映像の検証をしているのに部屋明るすぎ、モニター小さすぎ。
人身事故(怖くない)
概要
女性グループが最寄りの駅から旅行に出かける際の映像。乗り込む電車とホームの間に人の顔が写り込んでいた。この駅では過去に男性がホームから突き落とされて亡くなった事件があり、人身事故が後を絶たないそうだ。
感想
これはJR東海、東海道本線・御殿場線の沼津駅ですね。彼女たちが乗り込む車両が313系3000番台、クモハ313-3011だったので、JR東海の御殿場線か身延線。よくみたら行き先表示が「御殿場」だったので御殿場線確定。御殿場行きがある始発駅は沼津か国府津。雰囲気から沼津駅かなあと思ったら、スタッフの取材映像の冒頭で駅名表示が写っていました(ひらがなで「ぬまず」)。
駅での取材風景でインタビューに答えた人たちみんな、「広報を通して」「知らない」「聞いたことない」とか言っているのに、かつてホームから突き落とされた事件があったことになっているのが笑えます。唯一、「自殺くらいですね」と言っている人がいましたが。
映像そのものはしょぼいものです。なんかカメラのブレと同期していない。フラフラと別に動いているように見え、合成が下手くそなのかと感じてしまいます。顔は目鼻はわかるのでけれども、なんだかぼんやりとはっきりせず、2つの顔が二重になっているようにも見えます。ぶっちゃけよくわからなくて怖くないですね。
ところで沼津から北海道へ旅行に行くのに、彼女たちはなぜ「10時10分発の御殿場行き」なんて電車に乗ったのでしょうか(アナウンスが聞こえます)。逆方向の上、1時間に1本のローカル線だよ、誤乗車だとしたらリカバリーできるの?。
たまたま2005年の時刻表があったので調べて見ました(2001年とそんなに変わらんでしょ)。
実は沼津10時10分発の三島行きってのがあるんですよ(2005年当時)。ほんとはこれに乗るつもりだったんじゃないかな。これなら三島に着くのが10時16分。三島10時24分発の新幹線に乗るつもりだったとして東京に着くのが11時23分。
もし誤乗車だったとしたら、次の駅(大岡)に着くまでに気がついたとしても、大岡着8時13分、次の沼津行きが8時34分、沼津に着くのが8時38分で30分近くのロスです。沼津10時46分発の熱海行きに乗り、三島に10時56分。三島発新幹線は10時57分発で、乗り換え時間1分ではとても間に合わないでしょう。次の新幹線は11時24分になってしまい、東京に着くのが12時23分で、ほぼ一時間遅れることになりますね。ちゃんと飛行機に間に合ったのでしょうか(笑)。
つか、どうでもいいことをいちいち調べてしまいました(笑)。
消えた腕(怖くない)
概要
投稿者の母親が息子の遊んでいる様子を撮影したホームビデオ。その映像に写る息子の友達の女の子の片腕が消えてしまっているように見える。その後、この友達は事故で左腕に怪我をしてしまったそうだ。しかもこの息子は事故の前日にこの友達の腕がとれてしまう夢を見たと言う。
その後、子供が自分(母親)の右足が無い夢を見てしまったので、心配になった母親から連絡があった。スタッフはこの母親に密着取材するが何事も起こらない。だが、インタビュー映像のなかに不可解な点を発見する。それは、窓に反射した母親の頭が写っていないことであった。
その2週間後、この母親から駅の階段を踏み外し、頭を怪我したとの連絡が入る。
感想
腕が消えていると言う映像ですが、肘から下を背中に回しているだけじゃないですかね。
密着取材とか言って、主婦がただ家事をこなしているだけの映像は、少々視聴が苦痛なレベル。子供の見た夢が災いの前兆だとか、本気で信じているこの主婦はちょっと滑稽ですらあり、変な壺とか買ってしまいそうだとか、いらない心配をしてしまいます。
母親の頭が写っていないという映像ですが、窓の中桟から上の背後が明るくて、反射していないだけのようにみえます。
偽ビデオ(少し怖い)
概要
投稿者は恋人同士の米田信吾さんと熊みゆきさん。1分足らずの映像の中に奇妙な声が入っていたと言う。その後2人の身辺にこれと言った変化や現象などは起こっていないそうだが、この映像の近辺では男性だけ生き残ってしまった心中事件があり、その後女性の幽霊がよく出るという噂を聞いたそうである。
ここで映像が紹介される。ちょっとした林の中でみゆきさんがおどけている様子。その映像内に女性の声で「◯◯して」と言う音声が聞き取れる。
取材班はこの付近の温泉街を取材したが、心中事件の噂は誰も知らなかった。そんな折、米田さんが事故に遭い、命に別状はないものの重体であるとの知らせが、みゆきさんからもたらされる。取材班は彼女に撮影された現場に来てもらい、検証することにする。身振り手振りで当時の様子を伝えるみゆきさんだが、これと言った収穫は得られない。地元の役場で心中の件を問い合わせても、そのような事件はなかったようだ。だが、撮影現場の木で過去に男性が自殺していたことがわかる。
すると、自分の携帯の着信メールを見たみゆきさんが、急に帰りたいと言い出す。それは友人の目がおかしくなったいうもの。今回の映像に関係があるのかとの取材陣の問いに、彼女はあの映像は米田さんの他にもう1人の友人と3人で撮ったと告白し、平謝り。その足で、その友人Sさん宅に向かう。
自宅にいたSさんは明け方近くに聞いたこともない男性の声を聞き、怖くて目を覚ましたところ、右目に違和感を感じ、今現在もよく見えないと語る。そして、取材班の追及に、あの映像は3人で作ったフェイク映像であることを白状する。だが、その映像のマスターテープをその場で検証するスタッフは、映像にもう1人の男性の唸り声が聞こえることを発見する。その事実に気が付いた彼女たちはビビりまくってしまい、取材班に謝りながらも追い出してしまう。
その後、みゆきさんは当て逃げ事件に巻き込まれてしまい、Sさんも自宅の電気が不意に消えたり、男の声も聞こえると言う怪現象に悩まされていると言う。
スタッフは投稿者たちが撮った映像を検証し、そこにはさらに奇妙なものが写っていることを発見する。
感想
場所は箱根湯本周辺でしょうね。みゆきさんが現場に呼び出された際の駅の映像でわかりました。現在の駅舎ではなく旧駅舎で、背後に箱根登山電車が写っています。今は橋上駅舎に建て替えられているので、だいぶ様子は異なります。
話の流れがわかりにくいのですが、要するにフェイクビデオを撮っていたら、実はそこは自殺現場で、本物の怪奇現象が起きてしまって男性は重体。マスターテープが変化して男性の唸り声が入ってしまい、女性2人がビビりまくると言うお話でした。怖いんだったら、スタッフを部屋から追い出さないでもっと調べてもらえばいいのに。
入り込んだ男性の声はちょっと不気味ですが、スタッフが発見したと言う不可解なモノは、丸で囲ってあるものの、何が写っているのか何度見てもさっぱりわかりません。
車(ほんの少し怖い)
概要
車の中で助手席の投稿者の妻が投稿者と娘をで撮影した映像。バックミラーとウインドウ、後部座席の娘の傍に人の顔が写り込んだ。その後この車で通勤中に投稿者の意識が飛び、ガードレールに衝突する事故を起こしてしまう。車に何かあるのではと感じた投稿者は中古業者に車を売り、別の車に乗り換えたが、その車でも脱輪事故を起こしてしまい、今は車に乗らなくなってしまったと言う。
感想
話の前後関係がよくわからないのですが、まず車内で映像を撮影、その後に事故。車乗り換え。あとで映像を見たら何か写ってたことに気がついた。と言う順番なのですかね。
写り込んだ顔は結構不気味。特に娘ちゃんのすぐ横の女の顔はめっちゃ笑っていて、見ようによっては結構怖いかもしれません。でも、指摘された顔は一つの画面に三分割で一挙に紹介されるので、通常再生で、どのタイミングで現れたのかが全くわからず、ちょっとイラっとします。
8ミリフィルム(ほんの少し怖い)
概要
投稿者が青森の骨董屋で購入した8ミリフィルムカメラに、前の持ち主がそのままにしてしまっていたフィルムが入っていたと言う。映写機を購入する機会があったのでそのフィルムを確認したところ、不可解な人の顔のようなものが写っていた。
感想
投稿者が方言丸出しなのに好感が持てます。本来ならば、地方の関係者にインタビューするときは、このように地域の方言や独特のイントネーションがよく出てきて良いはずなのですが、ほん呪に登場する一般人は割と標準語を話しますよね(関西弁以外)。
撮影者不明の得体の知れない映像、と言うシチュエーションは結構好きです。この映像も、病床に臥せっている老人が写っており、病院らしき施設から出てくるシーンがあるので不穏な雰囲気を醸し出しているのはなかなか不気味。その顔が出てくるシーンの前にピントが合わなくなるのも何かの現象の前触れっぽくていい感じです。肝心の顔が出てくるシーンが暗くてわかりにくいのが残念です。
うめき声(怖くない)
概要
投稿者の2人の子供うちの下の子(るかちゃん)が、深夜寝ているとき、地獄の番犬の唸り声のような不気味な声を発する。
感想
るかちゃん、光基くん兄妹がかわいい(笑)。
ちなみに、るかちゃんの声ですが、これはただのイビキじゃないすかね。
砂嵐(怖くない)
概要
1人の男性が行方不明になってしまった。男性の名前は清水誠さん。投稿者・田山さんによると、テレビの放送終了後に流れる砂嵐(当時)に何かを見たという連絡が清水さんからあり、その後行方をくらましたと言う。
田山さんによると1月15日頃に電話があって以来連絡がつかないと言う。その電話は砂嵐に何かが写っているので見て欲しいと言うもので、何かに怯えている様子だった。田山さんは次の日の同じ時間帯の砂嵐を録画して見て見たが、何も見えなかった。
スタッフは、清水さん宅を取材。両親には失踪に何も心当たりがなく、砂嵐の件も知らないという。彼の部屋を調べてみると、携帯電話とアルバムから1枚の写真が剥がされていることが発見された。その部屋で同時刻の砂嵐を録画してみるが、何も見ることはできなかった。携帯の履歴から、3人の知人に連絡していたことがわかる。バイト仲間だった平さんはまともに取り合わなかったようだが、同じ職場の冨樫さんは清水さんに請われて、自宅まで砂嵐を見に言ったそうである。だが、彼にも何も見えなかった。冨樫さんによると清水さんは画面の左に老人の顔が見えると語っていたそうだ。スタッフは冨樫さんに田山さんが録画していた砂嵐を見てもらう。すると、最初に確認した時と異なり、男性のうめき声が映像に入っていることがわかった。この映像を1番目のエピソードで「ほんとにあった!呪いのビデオ2」に霊媒師にも見えない霊が写っていると抜かした川島さんに見てもらうと、下の方に男の子が見えるとか言い出した。
清水さんが最後に連絡をした3人のうちの最後の1人、恋人の井口さんに取材すると、彼女はアルバムから剥がされた写真を知っていた。それは清水さん一家が静岡県に住んでいたころの写真で、幼い頃「幽霊屋敷」と呼ばれていた廃屋の前で撮られた写真だという。清水さんの両親に静岡時代の住所を聞き出し、取材班はその廃屋を探すこととなった。かつての同級生などをあたると、当時仲の良かった谷井さんという人物が浮かび上がるが、連絡が取れず行方不明になっていた。清水さんの当時の担任の先生までも取材するものの、廃屋の場所はわからない。当時の新聞などからそれらしい廃墟を割り出し調査するものの目立った収穫を得られなかった。
取材班は行方不明の谷井さんのアパートの管理人に連絡を取り、彼の部屋を調べることにする。谷井さんの部屋は、電気は来ているのになぜか部屋の明かりがつかなかった。また、布団が二組敷きっぱなしで、谷井さんの他にもう1人の人物が部屋で寝ていた痕跡がある。そして、1本のビデオテープが打ち捨てられていた。その場で再生すると、砂嵐が記録されている。清水さんが何者の顔が写り込んでいると訴えた例のテープのマスターであろうか。そして、清水さんはここに来ていたのか。取材中に最初に砂嵐を見てもらった冨樫さんが高熱で病院に担ぎ込まれた知らせも入った。
スタッフは砂嵐の中に少年の霊を見たと言う、川島さんにもう一度話を聞いた。すると、彼はその少年の姿は幼少期に自分をいじめていたクラスメートの顔が見えていたと告白する。その少年は事故で既に死んでおり、一時は殺してやりたいと恨んでいた後ろめたさから、その場で言えなかったようなことを話す。砂嵐には全ての人に何かが見えると言うわけでないようだ。
もし、あなたがこの砂嵐に何かを見たとすれば、それはあなた自身の怨念と関係あるのかもしれない。
ここで、田山さんの映像、清水さん宅で録画したもの、そして谷井さん宅で発見したものの順で砂嵐の映像が紹介される。田山さんの映像に画面中央部に目を閉じたような人の顔が写っているのが確認できる。スタッフロールの後、清水さんの情報を呼びかけるテロップが表示される。
その後、谷井さんが長野病院で入院している情報が、部屋の管理人より得られる。スタッフは病院に向かうが事故による怪我のため面会はできなかった。取材班は彼の回復を待つことにする。
後編へ続く
感想
長い。30分以上ありましたよ。結局何が起こっているのかわからず、消化不良気味ですね。砂嵐の映像ですが、なんか線で書いたような顔が写ってました。怖いと言うようなものではなく、「見えるか見えないかはあなた次第」みたいなナレーションの後だから、「何か見えたら怖いやろ」的な演出なのかと穿って見てしまいますね。てか冨樫さんに見てもらった時の唸り声は?あれ?無かったみたいだけど。
話がわかりにくいのですが、清水さんが砂嵐に何か人の姿を見たからと言って、次の日に録画しても意味ないだろうと僕は感じてしまうのですね。つまり清水さんはテープに何かが写ったのではなく、その時間に放送された砂嵐に何かが写ったと感じていたのですな。だから「同じ時間に見ればみんな見えるやろ」ってことなのか?それをスタッフが何も疑問に思わず話が進んでいくものだから置いてけぼりをくらってしまいました。
んで、全く怖くはありません。
感想まとめ
このVer.Xなんですが、ナレーションで補足みたいな構成ではなく、ほとんど投稿者や関係者のインタビュー音声で事の次第を説明しているので、わかりにくい印象を持ちました。また、予算をかけられずに照明やレフ板などを省略しているようで、室内の映像が暗いと感じました。特に「消えた腕」なんかひどいもので、室内で撮った映像が真っ黒になってしまったせいか無理やり明度を上げて、全体的に白っぽくなってしまっていましたね。
映像も恐怖度は控えめで、長い割には怖くなかったと言うのが感想となります。その中では、「偽ビデオ」、「8mmフィルム」が印象に残りました。
コメント