闇動画16（ネタバレあり）

はじめに

「闇動画16」のレビューです。この巻も興味深いストーリーに唸らされます。ただ、ここ数巻は「心霊ドキュメンタリー」と言うよりは「心霊ドラマ」になっていますね。

魔窟 神出鬼没（怖い）

概要

撮影者の男性と男女2人の3人は、かつて老人ホームだった廃墟を探検する。無人と思われたこの廃墟施設の一室に、何故か老婆が一人座っていた。認知症を患った老婆が徘徊しているのかもと思ったが、せっかく来た廃墟を探検したい彼らはとりあえず放置。「あとで通報すればいいや」、みたいな感じで探検を継続する。

途中、この老婆の排泄物と思しきものを女性が踏んでしまい、男性2人がはしゃいでいると、何故か先程の老婆がすぐ後ろに迫ってきており、男性の一人に噛みついたようだ。男が怒って突き飛ばすと、倒れた老婆は高笑いしている。不気味に感じた彼らは廃墟から撤収しようとするが、迷路のように入り組んだ施設から中々脱出できない。

ようやく脱出に成功して戻ったところ、車が排泄物らしきものでひどく汚れてしまっている。先程噛みつかれた男性の車だったらしく、あの老婆の仕業に違いないと頭に血が上った彼は、「ばばあ、ぶっ〇してやる」と廃墟に戻っていってしまう。

取り残された女性と撮影者は、彼を止めるべく後から廃墟に戻るのだが、その彼らを襲った恐ろしい出来事とは…。

感想（ネタバレ）

どう考えても、あの老婆がこんなに短い時間で車をうんこまみれすることなど不可能、明らかにおかしいのに、「ぶっ〇してやる」とか、理性も何もかっ飛ばして頭に血が上るこの男、それこそ頭おかしい。まあ、うんこまみれの車を、どこでどうやって洗うのだと考えると気持ちはわかりますけど。

この後みんなこの老婆の餌食になるのですけど、その神出鬼没ぶりはサブタイトル通りで結構怖かったですね。このような廃墟探索では珍しく真昼間なんですけど、その方がダンジョンのようなこの建物の雰囲気が良く判って、これはこれで良かったと思います（いいとこ見つけたな）。

狩人（少し怖い）

概要

撮影者の女性は、恋人の男性宅に誕生日のお祝いサプライズと称して突撃する。彼は不在だったので合鍵で部屋に入ると、何と浴室に拘束された女性がいるではないか。どうもこの女、喉を潰されているようで喋ることができない。彼氏の写真を見せてこの男に拘束されたのかと問うと大きく頷いた。

彼氏には今日は出張と偽っている撮影者。自分がいない間に女を拘束して喉を潰して自室に監禁するとか、猟奇犯罪者ではないかと混乱している間に、何と彼氏が超絶なタイミングで帰ってくる。

帰ってきた彼氏は悪びれる様子も無く、女を浴室に監禁した事情を話すのだが、それはとても信じられない荒唐無稽なものであった……。

感想（ネタバレ）

実は世の中には人間のふりをした人間ではないものが紛れ込んでおり、自分だけはそれが分かる。彼らを滅ぼさなければならず、その不思議な力を授かった。奴らを狩ることが自分の使命なのだ、などと言う荒唐無稽な与太話を、彼女は全く信じておらず、隙を見て彼を倒し、拘束された女を助けたら全部ホントだったという話です。ジョンカーペンター監督の映画「ゼイリブ」を思いだしました。

彼の話を信じて拘束された女を実家に運ぶことを手伝うのかな、と思っていたら、ぜ～んぜん、全く信じておらず、彼を鈍器で殴って気絶させてしまうのは、ちょっと意外でした。まあ、それが普通の反応ですよね。

顔顔顔（怖い）

概要

ある心霊スポットのトンネルに肝試しに向かう男女4人。じゃんけんに負けた女性が1人、罰ゲームでカメラ片手にトンネル内に入っていく。するとちょうど真ん中あたりで謎の女性が1人こちらに背を向けて立っている。彼女は車でトンネルを抜けるときに、メンバーの男性が誰か立っていたと訴えたことを思いだした。幽霊などではなく本物の人間だと思った彼女は、声をかけてその女性に近づくが、その顔はのっぺらぼうであった。悲鳴をあげカメラを取り落とす彼女。

悲鳴を聞きつけ、後から駆け付けた残りの3人。そこで倒れていた最初の女性を見つけるが、その顔は皮膚が剥がされてようで、無残なものであった。慌てて車を回すために引き返すもう一人の男性。落としたカメラを拾い上げた男性がその後に経験する恐怖の事象とは……。

感想（ネタバレ）

概要では端折りましたが、まずトンネル内を車で走り抜けるときに、同乗者がその中に人影を見つけます。これは「ほんとにあった！呪いのビデオ」の名作、「夜警（夜の警備）」を彷彿とさせます。

次に罰ゲームでトンネルに1人で歩く女性が声をかけた女性がのっぺらぼうであったこと。駆けつけた3人に幽霊の声が囁くこと。顔を剥がされた最初の女性が発見されること。剥がされた顔の皮膚が道に落ちていたこと。取りに行った車がもう一人の女性を撥ねてしまい、さらに止まった車には誰も乗っていない。撮影者が乗り込むと前にトンネル内で最初に発見した女が立っていて、さらに落ちていた剥がされた顔を被っていた。などなど、これでもかと畳みかける展開が面白く、一見の価値があります。

最後ちょっとびっくりしました。

感想まとめ

前巻に比べて格段に良くなってますね。「狩人」がちょっと「？」ですが、前後の話が怖くて面白かったです。特に「顔顔顔」が良かったです。「魔窟 神出鬼没」も甲乙つけがたいですが、やっぱり夜の方が雰囲気でますね。

相変わらず、映像の出どころとか、投稿者へのインタビューとか、取材とか一切ないシンプルな心霊ドラマに仕上がっています。今後もこの演出で行くのでしょうね。

次巻も期待できます。

それでは。

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本ページの情報は2022年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。